エネルギー分野で、ロシア国営企業の南米進出が目立っている。ベネズエラ国営PDVSAのオリノコ油田合弁(JV)事業で、ロスネフチが増資で合意したほか、ガスプロムがボリビア政府とエネルギー分野での連携で合意するなどの動きが伝わっている。(写真はロスネフチ本社)

2月末、ロスネフチがベネズエラのPDVSAとの合弁事業「ペトロモナガス」プロジェクトに5億ドルを出資することが判明した。これによって出資比率が16.7%から40%になるという。2月20日付のサイト『スプートニク・インターナショナル』などが報じた。このプロジェクトは、ベネズエラ産出のオリノコ原油(重質)から合成原油を日量13万バレル生産するもので、同国国内の製油所で精製されている。ロスネフチとPDVSAは2015年6月、ベネズエラの天然ガス開発ですでにJVを設立済みだ。今回、両社はベネズエラ沖合の天然ガス開発に関する「マリスカル・スクレ」プロジェクトでも合意、開発事業を急ぐ予定だ。

 ところで、サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国は2月半ば、原油生産量を今年1月の水準で凍結することで合意した。他の主要産油国が追随することが条件とした。欧米などによる経済制裁が解除されたばかりのイランはこの合意に歓迎の意を示したものの、その時点で同調するかは明言を避けた。『ロイター通信』(2月22日付)によると、ベネズエラのデル・ピノ石油鉱業相は同日、原油増産の凍結合意によって、価格押し上げ効果が1バレル当たり10~15ドルになるとの認識を示した。 

一方、ガスプロムはこのほど、ボリビア政府との間で同国の石油・天然ガス共同開発で合意した。開発事業は、探査、生産、輸送、製油所の近代化、発電所の建設など多岐にわたる。このほか、ボリビア国外のエネルギー開発事業に両国が共同で参加する契約でも合意に至ったとしている。2月20日付のサイト『マリタイム・エグゼクティブ』などが報じた。