駐日カナダ大使館はこのほど、日加エネルギー関係を継続的に支援する取り組みの一環として、都内でセミナーを開催した。このなか、アルバータなど4州の政府代表者らが、石油・天然ガスの開発や再生可能エネルギー政策の概要と、ビジネス機会の有用性を強調し、日本からの積極的な投資を呼びかけた。また、約20社のカナダ企業がプレゼンテーションを行った。(写真は当日の様子)

セミナーでは、カナダのアルン・アレグザンダー公使(商務担当)が「カナダはクリーンエネルギーでも世界をリードしている。新たな日加関係を築くのが目的だ」とあいさつ。それに続き、アンドレア・クレメンツ参事官(投資・エネルギー担当)が、「変化を続けるカナダのエネルギー概況」と題して講演。このなか、参事官は「カナダは化石燃料からクリーンエネルギーに補助をシフトしていく」と語った。

他方、カナダ4州の政府代表者らは、各州のエネルギー事情について以下のように説明した。アルバータ州政府のデイビッド・アンダーソン代表は「オイルサンド(油砂)は長期的な投資と考えている」としたうえで、天然ガス発電所のエネルギー効率、クリーンエネルギー分野での技術開発で日本企業に期待を寄せた。

ブリティッシュ・コロンビア州政府・国際貿易投資事務所のアブロム・サルスバーグ代表は「天然ガス輸出の戦略を練っている。液化天然ガス(LNG)輸出施設の建設によって、アジア向けにガスの安定供給が可能となる。また、カナダは地政学リスクが少ない」と強調した。

オンタリオ州政府・アジア地域ディレクターのパン・ウェンポー氏は「(同州で)2009年にクリーンエネルギー法を施行した。2014年には石炭火力の稼働を停止することができた。これは600万台の車が走行するのをやめたことに相当する」と語った。

また、ケベック州政府・経済、科学イノベーション省貿易顧問のヴァレリー・ポワソノー氏は「今年末に2016~2025年・新エネルギー政策を発表する予定だ。運輸部門の電化で温室効果ガスの減少につなげる」と説明した。

カナダ連邦政府は2015年11月、クリーン・テクノロジーと技術革新を推進するため、年間3億カナダドルの投資を決定している。