欧米などの経済制裁が解除されたイラン。同国政府の高官はこのほど、イラン国内で進むサウス・パース(SP)天然ガス田の開発が終了し、生産量が増加するため、2017年3月までに天然ガスの生産量がカタールを上回るとの見通しを示した。
イラン政府の高官はこのほど、サウス・パース(SP)天然ガス田の新規開発(5フェーズ分)が終了することで、天然ガス生産量が増えるため、2017年3月までに、カタールの天然ガス生産量(年間1,770億立方メートル)を上回るとの見通しを示した。イランはこれまで、SPガス田のフェーズ12からフェーズ24の開発事業に計5,050億ドルを投資してきたとされる。現在、国内で消費される天然ガス需要量の半分をSPガス田から供給しているそうだ。SPガス田の推定埋蔵量は、天然ガスで51兆立方メートル、コンデンセートで500億バレル。5月6日付のサイト『EOGアジア』などが報じた。
他方、5月9日付のサイト『IRNA』などによると、イラン国営石油会社(NIOC)の首脳が、SPガス田の開発が完了すれば、イランの液化石油ガス(LPG)の生産能力が倍増するとの見通しを示した。イランにおける現在のLPG生産量は年間800万トンで、このうち、300万トンが天然ガスから生産されるという。LPGに関し、イランは経済制裁下でもマーケットシェアを減らしていないため、制裁解除によってシェア拡大につながると見られている。
このほか、液化天然ガス(LNG)事業についての動きも伝わる。イランのザンギャネ石油相は5月中旬、オマーンのルムヒ石油・天然ガス相と会談し、イランから輸送する天然ガスパイプライン建設計画の優位性について話し合ったという。5月9日付のサイト『オマーン・オブザーバー』などが報じた。会談では、オマーンにLNGの輸出会社を設立することもテーマに上がったという。ザンギャネ石油相は、韓国企業が天然ガスパイプラインのプロジェクトに対する融資や、イランからの天然ガス輸入に興味を示していることを取り上げ、オマーンにイランへの投資を急ぐよう迫ったとされる。