バイオ燃料を巡る開発で、独タイヤメーカーが「タンポポの根」由来のエンジンマウント(エンジンと車体の振動を和らげるゴムのパーツ)研究に取り組むほか、豪州とニュージーランドの航空会社が「ユーカリ」を候補とする原料で、バイオジェット燃料の共同開発案が持ち上がっている。
独タイヤメーカーのコンチネンタル・タイヤは、タンポポの根を原料とするタイヤ・エンジンマウントの素材を開発している。4月25日付のサイト『コンティテック』などによると、コンチネンタルは2014年、タンポポから製造した冬季用タイヤの初となる実地試験を開始したという。同社は、フラウフォファー・インスティテュート・フォー・モレキュラー・バイオロジー・アンド・アプライド・エコロジー(IMF)、ユリウス・カーン・インスティテュート(植物研究所)、エスクーサ(育種会社)と共同で、タンポポ由来のゴムを開発しているそうだ。
仏バイオ企業のグローバル・バイオエネジーズは4月21日、実証プラントで製造したバイオイソブテンの試作品を合成ゴムメーカーのARLANXEOに提供したと発表した。グローバルはすでに再生可能原料をベースに高純度のイソブテンを製造する技術を開発済みだ。ARLANXEOは、独ランクセスとサウジアラビア国営のサウジアラムコが2016年4月1日に設立したばかりの合弁事業(JV)で、オランダのマーストリヒトに本社を構える。再生イソブテンについて、グローバルはバイオベンチャー企業の米ランザテック(イリノイ州)との提携も年明けに発表済みだ。
ところで、オセアニア地域では、ヴァージン・オーストラリアとエア・ニュージーランドが3月半ば、バイオジェット燃料を豪州で生産する計画を共同で検討することについて公表済みだ。このほど、バイオジェット燃料を製造する計画を評価する書類である「情報提供依頼書(RFI)」を5月末の期限として発行したことが判明した。
バイオジェット燃料にかかわる技術開発を巡っては、熾烈な競争が繰り広げられている。豪州とニュージーランドの航空2社は、世界での動きに乗り遅れないようにするため、両社間で認識が一致したとされる。ヴァージン・オーストラリアはこれまで、ユーカリ由来のバイオジェット燃料の開発作業に取り組んできたが、今回のプロジェクトで原料をユーカリとする案が有力視されているという。