「原油安ショック」シリーズの第42弾。一昨年来の原油安が国家財政や企業経営に与える悪影響は収まりそうにないのが実態のようだ。
エジプト政府は4月9日、2016~17年度の燃料補助金を前年度比で4割強減らし、39億4,000万ドルにするとした。減額の理由について、エネルギー価格の下落によるとした。同政府は補助金削減によって、前年度11.5%であった対国内総生産(GDP)比を、今年度は9.8%とし、10%を下回る水準にする狙いという。経済停滞が続くエジプトでは、外貨準備高が2011年の360億ドルから今年3月までに165億6,000万ドルまで激減している。4月9日付のサイト『シーナ』などが報じた。
カナダ石油生産者協会(CAPP)の予測によると、2016年のカナダの石油・天然ガス部門における投資額が14年に比べ62%減の236億2,000万ドルになるという。投資を減らすことで、今年の掘削井数は14年の1万400井に比べ66%減の約6,900井になるとしている。ただ、原油価格が大きく下落基調に転じた2014年半ば以前に計画していたオイルサンド(油砂)プロジェクトが本格的にスタートするため、16年の原油生産量は増加に転じるとした。4月7日付のサイト『ビジネス・ニュース・ネットワーク』などが報じた。
南米ベネズエラでは、原油価格の下落が国家財政を直撃している。対ドルでの自国通貨安も加わり、ベネズエラ国営PDVSAと取引関係のある油田サービス企業のシュルンベルジェは、当地での事業を縮小する方針を示した。4月12日付の『ロイター通信』や同13日付の『ブルームバーグ・ニュース』が相次いで報じた。
このほか、4月11日付のサイト『ビッグ・ストーリー』などによると、クウェートでは最近、石油・天然ガス労働組合に所属する従業員ら数千人が、賃金削減などの策に乗り出したクウェート政府の方針に異議を唱え、近くストライキを実施する構えを示したという。ただ、クウェートでは、公共部門におけるストライキ実施は日常茶飯事とされ、経営側は歩み寄りの姿勢を見せていないようだ。