米国では、シェールオイル・ガス開発業者が、地元住民からの支持を得にくい状況にあるようだ。水圧破砕工法(フラクチャリング)を使用するシェール開発に対し、反対の声が大きくなっていることがこのほど、米有力調査会社の調査結果から判明した。 

米調査会社のギャラップは3月30日、シェールオイル・ガスの掘削時に使用する技術であるフラクチャリングの可否について、住民アンケート調査の結果を公表した。

それによると、反対意見が昨年の40%から今回(2016年)は51%に増加した。賛成意見は36%だった。昨年は賛成、反対の声がそれぞれ40%だったという。反対する住民の多くは、フラクチャリングによって地震を誘発するとの見方や、地下水の汚染など環境面に悪影響を及ぼす懸念を示したという。

ギャラップ社の調査結果の発表とほぼ同時期、米国地質調査所(USGS)が地震の発生予測マップ(地図)を初めて発行した。USGSはこれまで、自然発生による地震の予測マップしか発行していなかったが、今回、米中部・東部の人工による誘発地震を予測するマップを追加した。人工によって引き起こされる懸念がある地震で、その主な要因は、石油・天然ガス掘削時の廃水の地下注入にあるとされた。そのうえでUSGSは、オクラホマ、カンザス、テキサス、コロラド、ニューメキシコ、アーカンソーの6州で、廃水の地下注入が深刻であると分析している。

フラクチャリングの実施に対する懸念は米国以外でもある。英国のウェールズ政府は3月末、シェールオイル・ガス掘削作業に関連し、フラクチャリングの禁止期間を延長すると発表した。英国政府は昨年8月、ウェールズやスコットランドでのフラクチャリングを使用する新規シェール開発プロジェクトの認可を停止していた。

今回のウェールズ政府の決定で、フラクチャリング技術が使えなくなるため、シェール開発業者には痛手となりそうだ。ウェールズやスコットランド政府は、地震の誘発や、環境破壊につながる懸念が払しょくされていないとの理由を挙げている。