今回は、東南アジア諸国における最近のエネルギー動向を取り上げる。(㊟国旗はタイ)

まず、タイ政府が9月末、ボンコット、エラワン天然ガス2鉱区の開発・生産権益にかかわる公募で入札結果を発表した。ボンコット鉱区ではタイ国営PTTの開発子会社であるPTTEP、ムバダラ・ペトロリアムのコンソーシアム(複合企業体)、エラワン鉱区では米シェブロン、三井石油開発、PTTEP、ムバダラ・ペトロリアムのコンソーシアムがそれぞれ入札したという。2つの鉱区は2022年から23年にかけて契約が切れるとしている。

マレーシアでは、サプラ・エナジーが9月12日、オーストリアのOMV アクツィエンゲゼルシャフトに石油・天然ガス生産事業の子会社(サプラ・アップストリーム)の株式50%を16億ドルで売却すると発表した。

一方、マレーシア政府は10月1日、サラワク州ビンツルの石油化学プロジェクトに入札する意向であることを表明した。約101ヘクタール(ha)の土地に建設する計画で、31億ドルの投資額を見込むとしている。

シンガポールでは、米エクソンモービルの幹部が10月初旬、シンガポールの製油所への投資計画を明らかにした。10月3日付のサイト『モーニング・スター』などによると、2020年1月に発効する国際海事機関(IMO)による低硫黄船舶燃料基準に対応するのが目的で、すでに事業化調査(FS)に着手したという。

他方、シンガポール海事港湾庁(MPA)が10月初旬、同国における液化天然ガス(LNG)バンカリングを推進するため、約1,900万ドルを投資したことを表明した。LNG燃料船舶の建造、LNG供給施設の建設、LNG輸送施設の建設などに充てられる見通しだ。

このほか、東チモール政府は、チモール海にあるグレーター・サンライズ天然ガス田の権益30%を米コノコフィリップスから3億5,000万ドルで取得することに合意したと発表した。東チモール政府は、天然ガス生産事業への投資拡大で、雇用創出や経済活性化につなげたいとしている。