イランのザンギャネ石油相は9月8日、米政府によるイラン制裁の再発動を受け、仏トタルがサウス・パース天然ガスプロジェクトのフェーズ11から撤退したことを受けて「トタルの投資資金は返還しない」との意向を示したようだ。ただ、イラン国内には、トタルの資産は残っていないという。
リム情報開発の調べによると、中国石油化工(SINOPEC)は、9月以降の契約分からイラン産原油の輸入量を従来と比べ半減させた。トランプ米政権は、中国をはじめとする各国にイラン産原油輸入の停止を要請しており、中国はいずれイランからの原油輸入をゼロにし、貿易戦争で米国との交渉カードに使う可能性がある、との指摘も出ている。
これに対し、欧州連合(EU)は、米政府による対イラン制裁の再発動にからみ、イランとの貿易を継続するための特別目的事業体(SPV)を11月までに設置する方向で検討に入ったという。旧ソ連邦時代、欧州諸国はイラン産原油と欧州の石油製品をバーター取引していた実績があり、今回も米国による制裁下でもイランとの交易を続けるための措置を講じる狙いがあるようだ。
ところで、イラン・エネルギー省傘下の通信社である『Shana』は9月30日、NIOCの子会社であるペトロリアム・エンジニアリング・ディベロップメントカンパニー(PEDEC)が、ペトロ・オミッド・アジアとの間でホルモズガーン州のジャースク港に原油貯蔵タンクを建設することで合意したと発表した。報道によると、タンクの貯蔵能力は1,000万バレルで、初期投資額は2億ユーロとしている。
このほか、ペルシャン・ガルフ・スター製油所プロジェクトに関連し、イランのザンギャネ石油相と、イラン国営石油精製会社(NIORDC)がフェーズ4の建設に合意したことが明らかとなった。フェーズ4では、ユーロ-5規格のガソリンやディーゼルを1万2,000キロリットル生産する見通しだ。これまでの段階で、同製油所の精製能力は日量36万バレルで、中東地域ですでに最大級の製油所である。