米エネルギー情報局(EIA)は10月末、ロシアの国別レポートを更新し、その内容を公表した。それによると、ロシアの原油とコンデンセートを合わせた原油類の生産量は世界第1位で、天然ガスの生産量は第2位にランクされる。2016年は、ロシア国家予算の36%を石油・天然ガスに依存したという。16年の原油輸出量の約60%、天然ガス輸出量の75%が欧州向けに出荷されたとしている。
また、2017年1月現在、ロシアの原油確認埋蔵量は800億バレル。16年の石油類の生産量は日量1,124万バレル。このうち、1,055万バレルを原油・コンデンセートで占める。国内消費量は日量360万バレルで、石油類の輸出量は同700万バレル(このうち、原油は同530万バレル)。ロシア国内には現在、約30の製油所があり、総精製能力は日量510万バレル。一方、天然ガスの確認埋蔵量(17年1月現在)は1,688兆立方フィートで、世界第1位。16年の生産量は21兆立方フィートに対し、輸出量は7.5兆立方フィートとなっている。
ところで、ロシアの天然ガス会社であるノバテクは11月1日、中国石油天然ガス集団(CNPC)と戦略的な事業提携に合意したと発表。両社の首脳が、ロシアのメドベージェフ首相と中国の李克強首相の立ち合いの下、合意書に署名したという。その約1週間後、ノバテクは北極圏に位置するギダン半島で展開する「アークティックLNG2」プロジェクトで、CNPCと中国開発銀行(CDB)と液化天然ガス(LNG)取引やインフラ整備を共同開発することに合意。CDBは最大で30億ドルを融資するという。
一方、ロシアはエネルギー分野でイランとの関係強化を図っている。ロシアのノバク・エネルギー相は11月1日、イランからインドに輸送する天然ガス・パイプライン(全長1,200キロメートル)の建設で、イラン政府と合意するとの見通しを示した。2018年に建設着工に漕ぎつける見通しだ。
また、11月1日付の『ロイター通信』によると、ロシア国営ロスネフチが、イラン国営石油会社(NIOC)と、イラン国内における原油・天然ガス開発を工程表どおりに進めることに合意したという。総投資額は約300億ドルで、原油を年間5,500万トン増産する見通しだ。