今回は、ここ数か月におけるフランスのエネルギー動向を取り上げる。仏政府が国内発電量に占める原子力発電のシェアの目標達成時期を先送りすると発表したほか、仏トタルなどが地中海のキプロス沖合鉱区での掘削活動を開始するなどの情報が伝わる。
仏政府は11月7日、国内発電量に占める原子力発電のシェアを現行の75%から50%に引き下げる目標の達成時期を、当初予定の2025年から2030~2035年に先送りすると発表した。電力公社の送電系統管理部門(RTE)が、2020年以降の電力不足のリスクを警告したことで、仏政府は目標の変更に至ったとされる。
11月6日付のサイト『キプロス・メール』などによると、2017年末から18年初めにかけ、トタルとイタリア炭化水素公社(ENI)は、キプロス沖合のブロック6鉱区で掘削活動を開始する。11月初旬に訪仏したキプロスのニコス・アナスシアディス大統領が明らかにしたという。
また、トタルがイラン南部のサウス・パース天然ガス開発プロジェクトのフェーズ11を開始した。11月4日付のサイト『イラン・デイリー』などによると、トタルは2017年7月、総投資額50億ドルのフェーズ11の実施で合意していた。
このほか、トタルとイタリアのエネルギー会社であるERGは11月3日、イタリアのTotalErgの販売・精製資産の売却に関連し、所有者のAnonima Petroli Italiana SpA(API)と合意した。売却額は7億5,000万ユーロで、トタルは潤滑油事業を継続するという。
一方、仏大手コンテナ輸送会社のCMA CGMグループは11月7日、新造する大型コンテナ船9隻に液化天然ガス(LNG)エンジンを搭載すると発表した。CMA CGMは、2020年までの用船を計画しているという。
ところで、ブラジル国営ペトロブラスは11月7日、トタルへのイアラとラパの2油田の権益売却について、ブラジル連邦裁判所が差し止め命令を解除したと発表した。これによって、ペトロブラスは、イアラ油田の権益22.5%、ラパ油田の権益35%を売却することになったという。