今回は、東欧ハンガリーにおけるエネルギー開発の情報などを取り上げる。ハンガリーがスロバキアと天然ガスパイプラインの建設計画で合意したほか、欧州委員会(EC)はハンガリー石油天然ガス会社(MOL)が運営する石油化学プロジェクトに資金援助することを認可したとのニュースが伝わる。

ハンガリーとスロバキアは10月30日、イーストリング天然ガスパイプラインの建設計画に合意したと発表。両国の経済担当閣僚が合意文書に署名した。イーストリングは、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアをつなぐパイプラインで、輸送能力は年間300億~400億立方メートルを見込む。

他方、欧州委員会(EC)は10月25日、MOLが運営する石油化学プロジェクトに1億3,100万ユーロの資金援助を認可したと発表した。MOLは、ハンガリー北部のティサウーイバ―ロシュ石油化学プラントの拡張プロジェクトに計8億7,400万ユーロの投資を計画しているという。

このほか、MOLは10月18日、プロピレンオキサイドからポリエーテルポリオールとプロピレングリコールを製造する技術をタイのティッセンクルップ・インダストリアル・ソリューションズから導入すると発表した。ティッセンクルップは、ライセンス供与や基本設計の役務を受注したとしている。

ところで、ロシア国営ロスネフチのセチン最高経営責任者(CEO)は10月末、クロアチアの石油・天然ガス会社であるINAの買収に興味を示していることを明らかにした。10月28日付の『ロイター通信』などによると、セチンCEOはINAをロスネフチの傘下にした上で、製油所の近代化を図りたいとの意向を示したとされる。INAの権益比率は現在、ハンガリーのMOLが約50%、クロアチア政府が約45%とされる。MOLとクロアチア政府は近年、INAの経営方針をめぐり対立が続き、2016年12月に同国政府がMOLの保有する株式を取得すると伝えていたという。