ロシアのノバク・エネルギー相は9月末、民間のガス生産販売会社であるノバテクがオペレーターを務めるヤマルLNGプロジェクトのフェーズ1が11月にも稼働するとの見通しを示した。ヤマルLNGは、北極圏に位置するヤマル半島のユジノタンベイ天然ガス田で産出するガスをLNGプラント(年間1,650万トン)で液化した後、輸出するプロジェクト。

一方、ロシア国営ガスプロムが、ハンガリーなど欧州向けの天然ガス輸出量を増やしている。2017年1~8月の輸出量は、前年同期比でハンガリー向けが26.6%増、トルコ向けが22.3%増、ギリシャ向けが14.3%増、セルビア向けが36.7%増などと、いずれも大幅な伸びを示す。『デイリー・ニュース・ハンガリー』などによると、「ターキッシュ・ストリーム」パイプラインがこれらの欧州諸国への輸出増に寄与しているという。ちなみに、ガスプロム全体の天然ガス輸出量は同12.1%増の1,263億立方メートルだった。

他方、ガスプロムM&Tは9月18日、傘下にあるガスプロム・グローバルLNG(GGLNG)が、ガーナ国営石油会社(GNPC)と同国への液化天然ガス(LNG)輸出で合意したと発表。2019年から12年間にわたり供給する見通しだ。

このほか、ロシア国営トランスネフチは9月20日、ロシアのスコボロディノ(アムール州)と中国の莫河(黒竜江省)をつなぐ原油パイプラインで中国に原油2,830万トンを輸出すると発表した。

一方、海外事業の見直しを進めているのが、ロシアのルクオイルだ。『ロイター通信』などによると、ルクオイルは、傘下の大手トレーダーであるリタスコ(拠点はスイス)売却を検討しているという。ウクライナ危機をめぐる米国による対ロシア経済制裁の影響で、リタスコの資金調達が困難になっているとされる。ルクオイルのアレクペロフ最高経営責任者(CEO)は11月の役員会で判断するとの見通しを示したようだ。

ルクオイルについては、同社がイタリアのISAB製油所(精製能力は日量32万バレル)の売却を検討しているとの情報も伝わる。ルクオイルは2013年、イタリアのERGからISAB製油所を完全買収した。現時点で売却額など詳細は不明としている。