今回は、欧州における最近のエネルギー事情について取り上げる。イタリアの油田サービス会社であるサイペムは今夏、イタリア炭化水素公社(ENI)の子会社であるENIアンゴラから、アンゴラ沖合でのプロジェクトにかかわる原油生産の設備導入などの役務を受注したと発表した。「ウエスト・ハブ・ディベロップメント」と呼ばれるプロジェクトで、首都ルアンダの北西約350キロメートル沖合のブロック15/06鉱区が対象となっている。
また、ENIは9月13日、原油・天然ガス開発・生産活動や、液化天然ガス(LNG)、石油精製などといったエネルギー分野で、中国石油天然ガス集団(CNPC)との協力関係の構築に合意したと発表。CNPCは、ENIの最先端の技術力に期待をかけているという。
9月初旬、英国スコットランド行政府のニコラ・スタージョン首相は、2032年までにガソリン・ディーゼル自動車の新車販売を禁止する方針を伝えた。9月5日付のサイト『スコッツマン』などによると、英国政府が2040年を目標にガソリン・ディーゼル車の新車販売の禁止目標を掲げたのに対し、8年前倒しとなっている。一方、スタージョン首相は、この目標を達成するためには、電気自動車(EV)の充電ポイントの拡充が必要との認識を示した。
他方、9月20日付の『ブルームバーグ・ニュース』は、フィンランドの電力会社であるフォータムが、独電力会社E.ONの燃料油・トレーディング事業の子会社であるユニパーを80億5,000万ユーロで買収することを計画していると報じた。ユニパーは、フォータムの買収提案を拒否しているとされるが、フォータムはE.ONと合意の上で、1株あたり22ユーロで買収提案をする見通しという。
デンマークの海運企業であるAPモラー・マースク(APMM)は9月20日、子会社のマースク・タンカーズをAPMHIに11億7,100万ドルで売却することに合意したと発表。マースクは現在、債務削減に取り組んでいる。こうした状況下、子会社の石油・天然ガス会社であるマースク・オイルを仏トタルに売却することをすでに発表済みだ。