前回に引き続き、世界におけるバイオ・水素燃料にかかわる最近の情報を取り上げる。インド企業が国際機関と組んで「竹」を材料にバイオ燃料のサプライチェーン化に乗り出すとともに、東欧スロバキアでは、農業残渣物からエタノールを製造するプラントの開発に近く着手する。

 インド国営のヌーマリガー・リファイナリー(NRL)9月半ば、国際連合の専門機関の一つである国連工業開発機関(UNIDO)と、竹材を原料とするバイオ燃料のサプライチェーン化で合意した。サイト『テレグラフ』などによると、NRLは、アッサム州のヌーマリガーに建設を予定するバイオリファイナリーで、竹材を原料とするバイオ燃料を製造する見通しとしている。

 スイスのクラリアントは918日、スロバキアで最大規模のバイオエタノール製造会社であるエンビラルに対し、セルロース系エタノール製造技術のライセンスを付与することに合意したと発表した。エンビラルは農業残渣物からエタノールを製造する商業プラントに、クラリアントの「サンリキッド」と呼ばれるブロセスを採用するという。プラントの製造能力は年間5万トン。スロバキアのレオポルドフにある既設プラントに統合される。年末に起工式を予定している。

 また、セルロース系エタノールプラント製造技術の提供で知られる、米D3MAXは今夏、アドバンスバイオ・システムズから米ウィスコンシン州スタンレーで展開されるセルロース系エタノールプラントの設計役務を受注したと発表した。アドバンスバイオは、すでにエタノールプラントを所有しているため、新設プラントを統合するとしている。

 このほか、水素関連では、米調査会社のナビガント・リサーチが919日、輸送部門における水素需要量の伸びが、電気分解で水素を製造するパワー・トゥ・ガス(P2G)の普及拡大につながるとの調査結果を発表した。P2Gとは、風力発電など再生可能エネルギーの出力時に生じた余剰電力を水素などの気体燃料に変換し、貯蔵する技術を指す。ナビガントは、電気分解装置やインフラにおけるコストダウンが重要な決め手になるとの見方を示した。