世界各国が、バイオ燃料の開発を国家レベルで後押ししている。米国政府はこのほど、藻類バイオ燃料にかかわる大学・研究機関の研究プロジェクトに助成するほか、中国政府は農業廃棄物を原料としてバイオガスのプラントを建設する農業生産者に助成する。このほか、水素関連では、オランダ企業が新製品を発表するなどの動きが伝わる。
米エネルギー省(DOE)は9月初旬、藻類バイオ燃料にかかわるプロジェクトに総額880万ドルを助成すると発表した。助成の対象となるプロジェクトは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の藻類の高効率スクリーニング技術、トレド大学の高塩分濃度・高アルカリ条件の培養など、計4件に上るという。
このほか、欧州連合(EU)は、アルゼンチンから輸入するバイオディーゼルの関税を現行の24.8%から4.5~10%に引き下げる。9月7日付の『ロイター通信』などによると、EUは2013年、反ダンピング税率を課したが、世界貿易機関(WTO)は昨年、EUに対し、税率を引き下げるよう要請したという。
サイト『クリーン・テクニカ』などによると、中国政府は今夏、農業廃棄物を肥料やバイオ燃料の原料にすることを増やすため、バイオガスのプラントを建設する農業生産者を助成する計画を明らかにした。中国では近年、化学肥料や農業廃棄物などの投棄で河川・湖沼の汚染、悪臭ガスの発生などが社会問題化している。
水素関連では、蘭ロイヤルDSMが9月4日、「アクロン・フューエル・ロック」と呼ばれる高圧水素タンクの新製品を発表した。従来の製品と比べ、バリア性・耐衝撃性に優れ、水素貯蔵タンクとして最軽量になるのが特徴という。フッ素加工ポリプロピレン(HDPE)や多層構造タンクよりも総コストを抑えられるという。