今回は、韓国のエネルギー事情を取り上げる。韓国政府が国内での発電能力を増強するために液化天然ガス(LNG)の輸入量を増やす方針であることが判明したほか、韓国のSKイノベーションが南シナ海沖合の鉱区で中国海洋石油(CNOOC)と生産分与契約(PSC)を締結したとの情報が伝わっている。
韓国政府が2030年までにLNGの輸入量を増やし、国内発電能力を5~10ギガワット(GW)増強する計画であることが判明した。韓国政府は、再生可能エネルギーの比率を現在の5%から2030年までに20%に引き上げる一方、石炭・原子力の依存を減らす方針を発表済みだ。韓国は現在、国内電力の約40%を石炭、約30%を原子力に依存している。9月6日付の『ロイター通信』によると、韓国政府は新エネルギー政策を年末までに最終決定する見通しという。
8月末には、韓国のSオイルがマレーシア国営のペトロナスとの間で、2018年3月から15年間にわたり、LNGを年間70万トン購入する長期契約を締結したと発表。購入価格は明らかにしていない。Sオイルは、調達したLNGを製油所の燃料ガスや、石油化学の原料として使用する見通しという。
中国国営のCNOOCは9月初旬、韓国のSKイノベーションと南シナ海パール・リバー・マウス海盆にある「ブロック17/8」と呼ばれる鉱区の生産分与契約(PSC)を締結したと発表した。この鉱区の面積は466平方キロメートル、水深は100~130メートルとされる。SKは今後、オペレーターとして探査期間中の費用を全額負担する。開発段階に移行した後の権益比率はCNOOCが51%、SKイノベーションが49%になるという。
このほか、韓国のSKエンジニアリング&コンストラクション(SK E&C)は8月初旬、イランのタブリーズ・リファイナリングが運営するタブリーズ製油所(精製能力は日量15万バレル)の近代化プロジェクトで、ガソリン・ディーゼル製造設備の工事を受注したと発表した。受注額は16億ドルで、工期は36カ月としている。
ところで、韓国の造船会社である現代重工業(HHI)は今夏、スイスを本拠地とするビトールから液化石油ガス(LPG)輸送用タンカー2隻の建造を6億ドルで受注した。現地からの報道によると、HHIは2019年上半期に新造タンカーを引き渡す予定だ。