季節変動幅が大きかった米国の軽油需要に変化が起きている。米エネルギー情報局(EIA)によると、暖房油向け需要減少に加え、輸出量の増加や輸送用燃料への需要増で、軽油の季節変動要因が減少している。軽油の需要量は1985年の日量290万バレルから2015年には同400万バレルまで増加したものの、暖房油の占有率が同年比較で28%から11%に低下しているそうだ。
EIAはまた、8月第4週の米国48州における天然ガス地下貯蔵量が前週比で300億立方フィート増加したと発表した。EIAによると、天然ガス貯蔵量は3兆1,550億立方フィートで、過去5年平均を80億立方フィート上回る水準にあるとした。
一方、米アパラチア地方で天然ガスの処理能力が拡大していることが判明した。EIAは8月29日、アパラチア地方では2010年以降にシェールガス生産量が増え、中流部門のインフラ整備が進んだ結果、ケンタッキー、オハイオ、ペンシルベニア、ウエストバージニア各州の天然ガス総生産量が2010年の日量11億立方フィートから16年には同100億立方フィートまで増加したという。また、天然ガスの処理能力は、2016年1月の日量20億立方フィートから今年5月に同229億立方フィートまで増強されたとしている。
このほか、米エネルギー省(DOE)は9月1日、液化天然ガス(LNG)を含む天然ガスの小規模輸出の承認手続きを迅速化すると発表した。カリブ海や中南米などの小規模市場向けの天然ガス輸出について申請方法の簡素化、承認手続きの迅速化が図られるとしている。
ところで、米南部を襲った大型ハリケーン「ハービー」の影響で製油所の稼働率が低下し、ガソリン価格の高騰を招いた事態を受け、DOEは8月31日、ルイジアナ州の戦略石油備蓄(SPR)基地から低硫黄原油40万バレル、高硫黄原油60万バレルを放出し、フィリップス66のレイク・チャールズ製油所などに供給した。DOEによると、SPRからの放出は2012年のハリケーン「アイザック」の襲来以来になるという。