今回は、最近の中国におけるエネルギー事情について取り上げる。シェールガス生産設備の建設などに関わる入札を実施したほか、オマーンやパキスタンでの製油所新設プロジェクトに関わる情報が伝わる。
8月16日付のサイト『チャイナ・デイリー』によると、中国の国土資源省は、国内のシェールガス生産設備建設と探査権益にかかわる入札を実施した。生産設備の建設予定地は貴州省遵義市と湖北省宣昌市。中国政府は、2020年までの13次5カ年計画で、天然ガスのエネルギー消費量に占める比率を2015年の5.9%から2020年に約10%にまで増やす計画である。
一方、中国統計局によると、中国は今年7月にロシアから原油を日量17万バレル輸入した。中国の原油輸入先でロシアが第1位。2017年1~7月のロシア産原油の輸入量は日量118万バレルで、前年同期比で16%増加したという。
中国系企業のオマーン万方は現在、オマーンのドゥクム経済特区(SEZAD)に製油所(精製能力は日量23万バレル)の新設を計画している。今般、万方はオマーン石油・天然ガス省と原油の調達で交渉している事実が明らかとなった。8月22日付のサイト『タイムズ・オブ・オマーン』は、オマーン万方のアリ・シャー会長が、オマーン以外のペルシャ湾岸諸国とも原油の調達で協議していると付け加えた。
このほか、中国天成エンジニアリング(TCC)は、パキスタンのカラチ近郊に製油所を建設するプロジェクトを申請した。TCCは500~1,000エーカーの用地確保に関する申請も行ったという。サイト『ANI』などによると、投資額は40億ドルで、石油化学コンプレックス(複合施設)の建設も予定する。
ところで、中国石油天然ガス集団(CNPC)のシンクタンクが8月17日に公表したエネルギー長期見通しによると、中国国内における非化石燃料と天然ガスが2030年までに石炭を上回り、2045年までに過半を占めると予測した。また、2050年までに石炭、非化石燃料、石油・天然ガスが各3分の1ずつになるとしている。原油需要は2030年に年6億9,000万トンでピークを迎えるとの見通しを示した。ちなみに、原油需要について昨年は、2027年に6億7,000万トンでピークを迎えると予測していた。