エネルギー改革法の施行によって、外資系企業の参入が可能となったメキシコ市場に海外企業の進出が目立ってきたことは、本サイト「エネルギーフロントライン」でもすでに取り上げた。今回は、メキシコにおける新たな動きを紹介する。

 米シェブロンは817日、メキシコでの燃料小売り事業に参入すると発表した。当地で石油製品の輸入とサービスステーション(SS)ネットワークの運営を行う企業(社名は明らかにしていない)と事業展開を図る予定だ。第1段階として、ソノラ州の州都エルモシージョで1カ所目となるSSを開設する。その後、バハ・カリフォルニア州やバハ・カリフォルニア・スル州で順次、SSを展開していくとしている。

 他方、スイスのトレーダー、グレンコアは817日、メキシコで20182月から燃料輸入事業に乗り出すと発表した。タバスコ州南部にあるグレンコアの輸入施設を利用し、墨燃料販売会社のG500のサービスステーション網を通じて販売する予定だ。

 このほか、マレーシア国営石油会社のペトロナスは8月初旬、子会社のカリガリ・メキシコ・オペレーションズが、メキシコ湾のサリナ海盆に位置するブロック6の権益50%を落札したことを明らかにした。残り50%はコロンビア国営石油会社のエコペトロールが取得した。ブロック6鉱区は水深が3080メートル。面積は約560平方キロメートルという。

 ところで、メキシコでは近年、製油所やパイプラインから原油やガソリンが不法に抜き取られる事件が多発し、当局も対応に苦慮している。819日には、メキシコ東部のベラクルス州で、国営ペメックスのガソリンパイプラインで爆発事故が発生したが、これも不法行為にともない発生した事故だったという。現地警察の調べによると、当時、1人が死亡し、5人が火傷を負った。また、『ロイター通信』などによると、今年5月初旬、メキシコ軍と石油窃盗グループが衝突し、多数の犠牲者を出したほか、盗油の影響でペメックスがガソリンの輸入を増やすとの情報も伝わった。