カナダでは、トランス・カナダのパイプライン建設計画が再び動き出した。米オバマ前政権によって却下された、カナダと米国を縦断する「キーストーンXL」原油パイプライン計画の聴聞会が始まったほか、「カナディアン・メインライン・システム」天然ガスパイプラインの拡張計画を規制当局に申請した。

 トランス・カナダは87日、オバマ前政権時に却下された「キーストーンXL」原油パイプライン建設にかかわる計画について、聴聞会が米ネブラスカ州リンカーンで始まったと発表した。トランプ米大統領は今年3月、キーストーンXL計画を承認したものの、原油安にともなう経済性への懸念や、環境への影響を配慮すべきとする建設反対派が承認差し止めを請求するなど、トランス・カナダには引き続き、逆風が吹く中での聴聞会の開催となった。

 他方、トランス・カナダは7月末、カナダの国家エネルギー委員会(NEB)に天然ガスパイプライン「カナディアン・メインライン・システム」(全長14,114キロメートル)の拡張計画を申請したと発表した。それによると、オンタリオ州トロントのヴォーン近郊にあるメイプル・コンプレッサー・ステーションを増強することで、天然ガスの輸送手能力を日量8,000万立方フィート増やす計画という。

 このほか、米クアンタ・サービシーズは83日、エンブリッジ・パイプラインから「ライン3」原油パイプラインの更新プロジェクトに関連し、カナダ国内で計画される部分の建設工事を受注したと発表した。原油パイプライン(口径36インチ)をアルバータ州中部のハーディスティからサスカチュワン州まで270キロメートル分を敷設する。2019年に完工予定としている。

 ところで、727日付のサイト『グローブ・アンド・メール』によると、カナダのサンコア・エナジーのスティーブ・ウィリアムズ最高経営責任者(CEO)が、アルバータ州北部のフォートヒルズ・オイルサンド(油砂)プロジェクトへの追加出資について、開発パートナーである仏トタルが拒否したことを明らかにした。その上で、ウィリアムズCEOは、プロジェクトがすでに92%完了し、2017年末までに生産を開始する計画は従来どおりとの見解を示したという。