フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ政権が発足してから6月30日で1年を迎えた。今回は、フィリピンにおける最近のエネルギー事情を取り上げる。
フィリピンのアルフォンソ・クシエネルギー相は6月初旬、液化天然ガス(LNG)を受け入れる施設などの建設計画に20億ドルを投資するとの見解を示した。6月8日付のサイト『オイルプライス』などによると、同国では現在、マランパヤ天然ガス田が枯渇する危機に直面しているという。
そのため、フィリピン政府は2020年にLNG施設の完工を間に合わせるとしている。
クシエネルギー相はまた、今後5年間でフィリピン国内の発電能力を7,000メガワット(MW)増強する計画を明らかにした上で、2040年までに4万3,765MWまで増強するとした。目標達成のため、海外からの積極的な投資を呼び込む。
他方、フィリピンのコングロマリット(複合企業)であるJGサミット・ホールディングスのランス・ゴコングウェイ最高執行責任者(COO)は6月29日、7億ドルを投資する石油化学プラントの拡張プロジェクトに関連し、設計・建設・調達役務(EPC)の入札を開始し、今年中に契約を締結すると発表した。拡張工事は2021年に完了する見通しだ。JGサミットの生産能力は現在、ポリエチレンが年間32万トン、ポリプロピレンが同19万トン。
このほか、マレーシア国営ペトロナスの石油精製子会社であるペトロナス・ダガンガン(PDB)は7月4日、フィリピンで液化石油ガス(LPG)販売を手がける子会社のペトロナス・フィリピン・エナジー(PEPI)の株式100%と不動産子会社のデュータの株式40%をフェニックス・ペトロリアム・フィリピンに計約1億2,400万ドルで売却すると発表した。PDBはこれまで、フィリピン国内のLPG事業から撤退する意向を示していた。なお、今回の売却については、今年第3四半期にも手続きを終える予定としている。