カタール国営石油会社(QP)の子会社であるウェーブLNGソリューションズと、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社であるシェルガス&パワー・ディベロップメンツは6月13日、船舶用の液化天然ガス(LNG)供給などの契約を締結したと発表した。これを受け、船舶燃料の硫黄分は2020年から0.5%以下に規制されるという。(国旗はカタール)
他方、国営カタールガスは6月18日、2019年からロイヤル・ダッチ・シェルとLNGを5年間にわたり、年間110万トンを供給する売買契約(SPA)を締結したと発表。QPとシェルの合弁会社(JV)である「カタールガス4」が、英ドラゴンLNGターミナル、もしくはオランダ・ロッテルダムのゲートLNGターミナルにLNGを供給するとしている。
このほか、QPは5月末、ペルシャ湾沖合のノース・フィールド天然ガス田で増産するため、ラスラファン工業都市のLNG系列のボトルネック解消を検討することで千代田化工建設と合意したと発表した。検討作業は今年末までに終える予定としている。
ところで、6月5日にサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などが突如、カタールとの国交断絶を宣言。約2週間後、QPの最高経営責任者(CEO)は6月18日、アラブ各国との国交断絶後もアラブ首長国連邦(UAE)への天然ガス供給を停止しないと語った。『アルジャジーラ』などが報じた。カタールは、UAEに対し、日量約20億立方フィートの天然ガスを供給している。
一方で、サウジアラビアがカタールとの国境を閉鎖したことで、6月12日付の『ロイター通信』は、QPの子会社であるラスガスが運営するヘリウム製造プラント2基が停止したと報じた。ヘリウム製造能力で世界第2位のカタールから供給途絶となれば、中東地域のみならず、世界全体に大きな悪影響を及ぼすとの懸念が広がり始めている。
カタール断交問題では、サウジアラビアなど4カ国が7月5日、関係改善の条件に対し、カタールが否定的な対応をしたとして経済面における制裁を今後も継続すると発表した。引き続き、カタール情勢の動向が注視される。