今回は、韓国における液化天然ガス(LNG)タンカー開発プロジェクトや、電気自動車向け電池開発・製造にかかわる投資案件などを取り上げる。
韓国のサムスン重工業(SHI)と、ノルウェーのオスロが本拠地のDNV GLは6月2日、LNGタンカーの開発プロジェクトに合意したと発表した。設計・評価、安全性の分析、市場調査などに取り組むという。DNV GLグループは、ノルウェーのデット・ノルスケ・ベリタス(DNV)と、ドイツのジャーマニッシュ・ロイド(GL)が2013年9月に合併して設立された。
また、韓国SKホールディングの子会社で、石油精製を手がけるSKイノベーションは5月31日、新たな収益源を開拓する目的で2020年までに電気自動車向けの電池開発・製造など、非石油精製部門に10兆ウォン(約90億ドル)を投資すると発表した。具体的な目標として、2025年までに世界における電池市場の占有率で30%を確保するとともに、販売量を2016年の1.1ギガワット(GW)時から2020年には10GW時に引き上げるという。他方、SKイノベーションは石油化学や潤滑油ビジネスの強化策として、今後、M&A(企業合併・買収)などを活発化させる意向を示した。
ところで、韓国の製鉄大手であるポスコ(本社:浦項市)は5月30日、同社が独自開発した低温用の髙マンガン鋼が、ASTMインターナショナル(本部:米ペンシルベニア州)に登録されたと発表した。ASTMとは、世界最大規模の民間・非営利の国際標準化・規格設定機関である。ポスコが開発したマンガン鋼は、摂氏マイナス196度に耐えることが可能で、LNGの貯蔵・輸送に応用できるとしている。ニッケル鋼と比ベ、マンガン鋼の価格は2~3割程度安く、溶接加工が容易であるのが特長だ。
このほか、韓国のロッテ・ケミカルは、総額3億2,600万ドル規模の投資計画の一環として、2019年までにメタキシレン(キシレンの異性体)とポリカーボネート(熱可塑性ブラスチックの一種)生産量の倍増計画を表明済みだ。2019年下半期までに、蔚山でのメタキシレン製造能力を年間20万トンから同36万トンへ、麗水のポリカーボネート製造能力を年間11万トンから同21万トンに増強するとしている。