ロシアが、イランとサウジアラビア双方とエネルギー分野での協力関係の構築に動いている。サウジアラビアとイランは、2016年1月初めから断交状態が続いている。
6月3日付のサイト『IRNA』などによると、イラン石油省のザマニニア副大臣と、ロシア・エネルギー省のモロツォブ副大臣が主導するタスクフォース(特別作業チーム)がこのほど、エネルギー分野における共同事業にかかわる行程表(ロードマップ)作成に調印したという。ロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラム(SPIEF 2017)に合わせて実施された会合で、双方が合意に至った。
また、ロシア国営のガスプロムとイラン国営石油会社(NIOC)は、イラン国内に液化天然ガス(LNG)プラントを建設することに合意した。6月1日付のサイト『トレード・アラビア』などによると、イランのサウス・パース天然ガス田で産出されるガスを液化した上で、インドネシアやカンボジア、ラオスに輸出する計画だ。
一方、6月1日付のサイト『スプートニク』などによると、ロシアのノバク・エネルギー相は、ロシア企業がサウジアラビアと広範な分野にわたるエネルギー共同事業の機会を検討しているとの見解を示した。対象となるのは、資源採掘・探鉱・石油化学・油田サービス企業など30分野に上るとしている。中でも、LNGや再生可能エネルギーが共同事業の有力候補とされているようだ。
このほか、ガスプロムと英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは6月3日、バルト海沿岸のレニングラード州にLNGブラントを建設する「バルチックLNGプロジェクト」で基本合意したと発表した。両社は今後、バルチックLNGの運営や建設、操業などの役務を共同で行うことになる。シェルは昨年6月、バルチックLNGプロジェクトの権益の一部を取得することに合意済みだ。ちなみに、バルチックLNGの生産能力は年間1,000万トンの予定で、最大で同2,000万トンまで拡張することが可能としている。
また、ロシア国営のロスネフチと英BPは6月2日、天然ガス事業にかかわる戦略的かつ包括的な協力体制の確立を目的とする覚書(MOU)に署名したと発表。BPの子会社であるBPガス・マーケティングは、天然ガスの長期売買契約をロスネフチと締結し、2019年から欧州市場に販売する予定だ。