今回は、米エネルギー省(DOE)や米エネルギー情報局(EIA)のデータから米国におけるエネルギー事情の現状について取り上げる。(ロゴはDOE)
EIAによると、2016年の米国のガソリン消費量は前年比1.6%増の日量932万7,000バレルだった。2007年の同928万6,000バレルを更新し、過去最高を記録した。ところで、EIAは16年初め、自動車の総走行距離が増えるものの、燃費向上で2016年のガソリン消費量が2007年実績を上回ることはないとの見方を示していた。
米テキサス州からニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地で原油生産が増加している。新しく建設されたパイプラインの稼働でメキシコ湾岸地域への原油輸送量が増えているためという。パーミアン盆地では、2010年1月の日量88万6,430バレルから14年1月に同150万バレル水準に達し、輸送能力や近隣地域での精製能力を超過していた。
米国で市場向けに供給された天然ガス量は、2015年に日量790億立方フィートのピークに達したが、16年は同770億立方フィートに減少した。天然ガスの最大生産州であるテキサス州で対前年比25億立方フィート(日量ベース)減った一方、オハイオ、ペンシルベニア両州では日量12億立方フィートずつ増加し、最大の増産量を記録したという。
他方、米国本土の地下天然ガス埋蔵容量は2012年から13年にかけて大幅に増加したが、その後の3年間は微増に留まっている。EIAによると、2013年以降は新規貯蔵施設の稼働がないことに加え、米国で天然ガスが増産されたことなどが、貯蔵依存度の低下につながったとしている。
このほか、DOEは4月末、カタール国営石油会社(QP)が主導する米ゴールデンパス液化天然ガス(LNG)プロジェクトから米国政府が自由貿易協定(FTA)を締結していない国へのLNG輸出(日量22億1,000立方フィート)を認可した。DOEは今回の決定について、LNG輸出が米国の不利益につながらないと判断したようだ。