「バイオ・水素」特集の1回目は、欧米の大学や企業などが取り組む水素製造のほか、航空会社のエア・カナダがバイオ燃料を使用し、ひこうき雲の汚染物質削減の効果を評価するフライトを実施するなどのニュースを紹介する。(写真はエアカナダのHPから引用)

ベルギーのアントワープ大学などの研究チームがこのほど、排ガスから水素を製造する気相光電気化学太陽電池(PEC)を開発し、その成果を専門誌に発表した。PECは、不活性ガスのうちで最大の効率を発揮するとされるが、新たに開発したPECは有機ガス共存のもとで一定の効率を示したという。4月3日付のサイト『グリーン・カー・コングレス』などで取り上げられた。

独蘭のエンジニアリング会社であるEMSは4月下旬、圧力500バール、貯蔵能力1,000キログラムの水素貯蔵施設を公開した。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の水素タンクを備え、水素ステーション向けに開発されたという。CFRPは、標準コンテナに格納が可能としている。

また、南カリフォルニア大学(USC)の研究チームは4月19日、新しい水素貯蔵プロセスの開発に成功したことを専門誌に発表した。エチレンジアミンとメタノールの脱水素化学反応で水素を発生させる。メタンのスチーム改質と違い、二酸化炭素(CO2)などを発生させにくい特徴があるという。

他方、バイオ関連では、米サザン・カリフォルニア・ガス(SoCalGas)と廃棄物処理業者であるCR&Rエンバイロメンタルが、廃棄物を収集する車両に再生可能天然ガスを使用していることが判明した。天然ガスはCR&Rの廃棄物処理施設で製造され、その後、車両に充填されるという。

このほか、バイオ燃料によるひこうき雲の汚染物質削減の効果を評価するプロジェクト(CAAFCER)に参加するエア・カナダは4月下旬、モントリオールとトロント間で5フライトを実施し、バイオ燃料を使用した飛行機によるひこうき雲のサンプリング調査にあたると表した。このプロジェクトは、カナダ国立研究機関(NRC)が主導している。