サウジアラビア政府は、化石燃料の開発事業に加え、再生可能エネルギー開発を加速させる方針だ。また、近年の原油価格の下落を受け、完成途上にある経済プロジェクトの投資計画の見直し作業に着手した。
4月18日付のサイト『サウジガゼット』によると、サウジアラビアの ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が、同国で開催された再生可能エネルギー関連のフォーラムで、今後10年間に太陽光と風力発電プロジェクトを30件開発すると表明した。2023年までに再生可能エネルギーによる発電量を全エネルギー源の10%に引き上げる計画を示したという。サウジアラビアは、石油依存の経済構造を低減させるため、再生可能エネルギー分野などに500億ドルの投資をすでに発表済みだ。
他方、サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコがシェア確保を目的に、5月のアジア向け原油価格の引き下げを実施する。4月12日付のサイト『オイルプライス』などによると、4月のアジア向け輸出価格を1バレルあたり0.15ドル下げ、5月は同0.45ドル割り引くことで、他の産油国との販売競争に対抗するとしている。
サウジアラムコはまた、同社のナーサル最高経営責任者(CEO)が、米コロンビア大学で開催された「グローバル・エナジー・サミット」で石油・天然ガス事業に長期的で持続的な投資が求められるとの見解を明らかにした。その上で、ナーサルCEOは、今後10年間で天然ガスの生産量を日量230億立方フィートに倍増するとともに、原油の精製能力をサウジアラムコ全体で800万~1,000万バレルとする目標を掲げたという。サウジアラムコが4月14日、ニュースリリースで発表した。
このほか、4月16日付の『ロイター通信』によると、サウジアラビア政府は、完成途上にある経済開発プロジェクトに関連し、数十億ドル相当の投資計画の見直しや棚上げを検討するよう各省庁に通達した。関係当局が現在、進捗率25%未満のプロジェクトを洗い出し、そのリスト作成に着手済みとした。リストラ対象となる多くのプロジェクトが、近年の原油価格の下落によって資金調達が困難になった案件としている。各プロジェクトに対する企業化調査(FS)を行った上で、サウジアラビア政府は、最終的な判断を下す見通しだ。