イタリア炭化水素公社(ENI)の海外事業が活発だ。キプロス沖合の鉱区で権益取得に合意したほか、メキシコ沖合で相当量の原油埋蔵が確認された。

ENIは3月初旬、キプロス沖合のブロック11鉱区の権益50%を仏トタルから取得することに合意した。対象となるのは、エジプト沖合のゾア天然ガス田から近い鉱区(面積は2,210平方メートル)。ENIは今年中にも試掘を開始する予定。トタルはオペレーターに留まるという。

また、ENIは3月末、コートジボワール沖合にある2つの深海探査鉱区(CI-101、CI-205)の権益を取得したと発表した。CI-101鉱区は首都アビジャンの南方50キロメートル、水深2,000~2,500メートルにあり、CI-205鉱区はアビジャンの南西80キロメートル、水深2,000~2,700メートルに位置するという。2鉱区の権益はオペレーターのENIが90%、コートジボワール国営石油会社のペトロシが10%。

一方、ENIはメキシコ沖合のカンペチェ湾のエリア1と呼ばれる鉱区で原油の埋蔵を発見した。高品質の軽質原油が確認されたそうだ。ちなみに、ENIはエリア1鉱区の生産分与契約(PSA)の権益100%を保有している。3月23日付のサイト『ワールド・オイル』などが報じた。3月末には、ENIの幹部が、この鉱区での原油埋蔵量は8億バレル以上の可能性があるとの見方を示した。その上で、エジプト沖合で開発するゾア天然ガス田とともに、エリア1でも速やかに生産活動に着手すると強調したという。

ところで、ENIの2016年第4四半期の決算で、純利益が4億5,900万ユーロとなり、前年同期の約3億ユーロの純損失から大幅な回復を遂げた。コスト削減と原油価格の上昇が寄与したという。モザンビークやエジプトで大規模な天然ガス埋蔵を確認したことで、油田やガス田で生産された原油・天然ガス量を新規開発の油・ガス田でどれだけ補足することが可能かを示す数値の「埋蔵量代替率」が過去最高の193%を記録したという。