今回は、英エネルギー大手のBPのビジネス展開を取り上げる。北海のパイプライン権益をスイス企業に売却する交渉に入ったほか、米企業が手がける再生可能天然ガス事業の上流部門を買収するとの情報が伝わる。
3月17日付の英紙『テレグラフ』(電子版)によると、BPが北海で保有する「フォーティーズ・パイプライン・システム」の権益をスイスの化学会社であるイネオスに売却する交渉を行っているという。フォーティーズ油送管(全長約178キロメートル)は、国際指標原油の北海ブレント原油を輸送している。北海にある無人の沖合ターミナルと、スコットランド・アバディーン近くのクルーデン・ベイの陸上ターミナルを経由し、BPのキンネイル基地に原油を輸送する。この基地は、イネオスが操業するグランジマウス製油所(精製能力は日量21万バレル)に近接する。
他方、HESインターナショナル(本社:ロッテルダム)は3月21日、オランダのマースフラクテの近くに輸送用石油燃料やバイオ燃料の貯蔵用タンクのターミナル建設をBPから受注したと発表した。このターミナルとBPが運営するロッテルダム製油所(精製能力は日量40万バレル)とを結ぶパイラインも建設する。27ヘクタールの敷地にタンク52基(貯蔵能力は130万立方メートル)を設置する計画としている。
BPはまた、米クリーン・エナジー・フューエルズ(CEF)の再生可能天然ガス(バイオメタン)事業の上流部門を買収する。CEFのニュースリリースによると、同社の下流部門は売却対象でないとしている。有機廃棄物から製造されるCEFのバイオメタンは、大型トラックなどの車両に供給される。BPは今後、CEFの所有するバイオメタン製造施設に1億5,500万ドルを投資する予定だ。
このほか、BPはニュージーランド・リファイナリー・カンパニー・リミテッド(NRCL)の株式約20%のうち、10%を5,620万ドルで売却した。NRCLによると、BPの売却先は公表しなかったものの、残り株式の約10%をBPが引き続き保有するという。NRCLは、ニュージーランドで唯一のマースデンポイント製油所(精製能力は日量9万6,000バレル)を運営する。
ところで、BPは2月末、2021年までの事業計画を発表。2014年との比較で石油精製や石油化学の製造部門で25億ドル、販売部門で30億ドルの収益拡大を目指す。一方、上流部門では、2017年に7つのプロジェクト、18年から21年の間に現在開発中の9つのプロジェクトが操業する見通しだ。原油の損益分岐水準を1バレル35~40ドルと設定している。