イランでは現在、製油所から天然ガス田開発に至るあらゆるエネルギー開発案件にかかわる情報が目立つ。ただ、最終的な契約成立として公表されることは少なく、イラン側の希望的観測を含むメディア向け情報として伝わっている感が強いようだ。
イランのアバダン製油所(精製能力は日量15万バレル)の拡張工事の起工式が2月7日、ザンギャネ石油相が臨席して実施され、中国石油化工(SINOPEC)が請け負う常圧蒸留装置(日量21万バレル)の建設が開始した。完成後、精製能力は日量36万バレルになるとされる。
また、2月15日付のサイト『メヘルニュース』などによると、イランの石油化学工業団体と中国国営ペトロチャイナが、イランの石油化学事業分野で協議していることが明らかとなった。技術ライセンスや設計、建設といった分野が対象で、正式合意に向け、交渉を続けているという。
イラン国営石油会社(NIOC)はこのほど、マレーシア人の富豪が所有するブハリー・インターナショナル・ベンチャーズ(BIV)との間で、イラン南部のフェルドウスとゴルシャーン天然ガス田の開発で今後、事業化調査(FS)を実施するという内容の覚書(MOU)に調印した。2月12日付の『イラン・ヘラルド』などによると、FSの期間は7カ月。ゴルシャーン天然ガス田は、ブーシェフル州の沖合180キロメートルに位置し、ガス埋蔵量が42兆~56兆立方フィートと見込む。一方、フェルドウス天然ガス田は、同州の沖合190キロメートルに位置する。
NIOCはまた、中断されている液化天然ガス(LNG)プロジェクトの再開に向け、欧州やアジア諸国の天然ガス企業と交渉していることを明らかにした。具体的には、ロシア、フランス、ルーマニア、リトアニア、中国の各企業が関心を寄せている。イランにおけるLNGプロジェクトでは、欧米諸国による経済制裁の発動前に18億5,000万ドルをすでに投資済みで、6割程度が完成していたという。
このほか、イランのアッバス・カゼミ副首相は2月初め、日本、中国、韓国との製油所・天然ガス精製プロジェクト3件が間もなく契約に漕ぎ着ける見込みとの見解を示した。総契約額は86億ドルに上るとされる。