バイオ燃料開発をめぐり、廃棄されたハム脂を原料としてフィンランドのネステがディーゼルを製造したほか、米エクソンモービルがバイオ企業との間で進めて来た先進藻類バイオ燃料の共同開発の期間を延長することを決めたなどの情報が伝わっている。(写真はフィンランドのシピラ首相、同国首相府提供)
フィンランドでは昨年12月のクリスマスシーズンに約4万世帯がクリスマス用ハムの廃棄脂を提供する運動「キンクテンプ」を展開した。これにより、ネステは油脂12トンを回収したという。同社は1月半ば、廃棄されたハム脂を原料にポルヴォー製油所(精製能力は日量約21万バレル)で、再生可能バイオディーゼル「MYリニューワブル・ディーゼル」を10キロリットル製造したと発表済みだ。
ネステはまた、フィンランドのトラック給油所網で、再生可能ディーゼル「MYリニューワブル・ディーゼル」の販売を開始すると発表した。MYディーゼルの原料は全量が廃棄物・残渣物で、温室効果ガス(GHG)排出量は、石油系ディーゼルに比べ80%少ないという。2017年1月にフィンランドの6カ所で販売を開始した後、4カ所で追加販売が計画されている。
エクソンモービルと、ゲノム技術実用化ベンチャー企業のシンセティック・ジェノミクスはこのほど、先進藻類バイオ燃料の共同研究の期間を延長した。両社は2009年以降、藻類バイオ燃料の研究を進めてきた。輸送用燃料の需要が2040年までに30%増加すると予想される中、今後は世界的な企業や研究機関との連携も視野に入れるという。
他方、米空軍研究所はこのほど、先進ドロップインバイオ燃料製造プロジェクトに5,500万ドルを助成することを決めた。対象となるのは、プラントの設計・建設・商業化施設、統合型バイオリファイナリーなど。軍事用バイオ燃料の製造能力で年間1,000万ガロン以上が条件とされる。
このほか、欧州委員会(EC)は、バイオガス生産の収率(イールド)向上を目指すプロジェクト(DEMETER)を通じて、デュポン・インダストリアル・バイオサイエンスへの助成を決定した。デュポンは最近、新しい酵素製品を開発し、有機廃棄物からのバイオガス製造でデータを取得済みだ。ちなみに、DEMETERは、発酵効率を20%以上、改修効率を40%、総コストを15%改善することを目指している。