アラブ首長国連邦(UAE)はこのほど、今後30年間を見据えたエネルギー戦略を公表した。主力の化石燃料に加え、再生可能エネルギーの導入に向けた政策を盛り込んだ。また、アブダビ国営石油会社(ADNOC)の幹部がシンポジウムに参加するため来日し、同社の戦略について説明した。

UAEのムハンマド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム副大統領兼首相兼ドバイ首長は1月半ば、今後30年間を対象とするエネルギー戦略「Energy Strategy 2050」を発表した。それによると、UAEは2050年までに1,630億ドルを投資する計画で、これを達成するためには、化石燃料に加え、クリーンエネルギー、天然ガス、原子力の導入が必要とし、それに向けたロードマップも付記した。

ところで、JCCP国際石油・ガス協力機関が主催する国際シンポジウムが1月26日、都内のホテルで開かれた。このシンポジウムには、中東やアジア諸国の大手エネルギー企業幹部や政府関係者らが参加した。UAEからは、ADNOCのハシェム・アル・ラファエイ販売・マーケティング局業務推進・企画部長が登壇し「進化するADNOC―より高い能力の組織へ:強靭性、競争力、未来への適合性」と題する講演を行った。

この中、ラファエイ氏は、昨年11月にADNOCの2030年までの戦略と5年間にわたるビジネスプランが取締役会で承認されたと説明。これを達成するために、人材活用(People)、パフォーマンス(Performance)、利益獲得(Profitability)、効率性(Efficiency)のPPPE政策を推し進めるとした。

PPPE政策のうち、人材活用では、女性リーダーの登用、若い人材の育成が柱となる。また、パフォーマンスでは「上流部門の価値と下流部門における利益を融合する」(ラファエイ氏)とした。その上で、同氏は、ガソリンなど石油精製品の需要に関連し、特にアジア各国からの需要に応える方針を強調した。

他方、ADNOCは1月16日、11日に発生した同社のルワイス製油所(精製能力は日量80万バレル)の火災によるプロピレン・プラント装置の稼働停止で、原油処理量が半分まで低下したと発表。その後、1月20日には、ルワイス製油所の全装置が再稼働したとし、火災の発生原因など詳細は継続して調査するとした。