中国では最近、独立系製油所(ティーポット・リファイナリーズ)の存在が注目されている。拡大するビジネスに対応するため、中国政府はこのほど、新たな規制緩和を打ち出す方針を示した。一方、本サイト「エネルギーコンフィデンシャル」(2016年9月2日付)で取り上げたように、ティーポットの急成長で、脱税行為が横行しているのも事実のようだ。
中国政府が、独立系製油所に対するディーゼル・ガソリンなど石油製品にかかわる輸出割当量を撤廃する方針を検討している。サイト『オイル&ガスイヤー』などは昨年末、2016年のディーゼル、灯油、ガソリン輸出量は前年比で3割増になったと報じた。独立系製油所は現在、中国全体の製油所の20%を占めているとされる。
『新華社』ネットニュースによると、中国の2016年10月の商業用原油在庫は前月比で1.9%減少。10月の原油輸入量は前月比で12.7%減少した。農業や建設向けの消費増加で、ディーゼルの在庫量は減少した一方、ガソリン在庫量は気温低下による行楽需要の減少で増加した。中国の2016年11月の原油輸入量は前年同月比18%増の日量787万バレル。同年1~11月の原油輸入量は前年同期比14%増を記録したものの、10月の国内生産量は2009年以降で最低水準となった。『ロイター通信』によると、2016年の原油輸入量のうち、独立系製油所が増加分の8割を占めた。2017年は、日量20~40万バレルを増やす予定という。
このほか、中国国家統計局のデータによると、2016年11月の中国の製油所における原油処理量は、前年同月比3.4%増の日量1,114万バレルで、過去最高を記録した。各製油所における改修工事が終了したことや、ティーポット・リファイナリーなど小規模な製油所での増産が寄与したとされる。中国石油天然ガス集団(CNPC)とペトロチャイナの国営2社で、原油処理量の72%を占めた。中国にある全製油所での2015年の精製能力は、日量1,050万バレルだった。
ところで、中国政府は、独立系石油会社を対象とする脱税取り締まりの強化に乗り出した。国家発展改革委員会(NDRC)は、脱税行為が明らかとなった場合、原油輸入を最大で1年間禁止する措置を講ずるとし、悪質な場合、原油輸入資格をはく奪することもあるとしている。また、原油輸入の資格のない事業者が転売している可能性もあるとみて実態の把握に乗り出しているようだ。