バイオ燃料開発をめぐる世界の動向を2回に分けて取り上げる。インドではエタノールを活用し、石油の輸入量を減らす動きが加速しそうだ。他方、エタノールよりイソブタノールに優位性があるとして、これを配合した自動車用ガソリンの販売に商機を見出そうとする企業も出てきた。(写真はインド国旗)

インドではエタノールの使用を増やし、石油輸入量を減らそうとの動きが出ている。11月13日付のサイト『インディアン。エクスプレス』によると、ナレンドラ・モディ印首相が、サトウキビから製造したエタノールの活用について言及したという。モディ首相は、エタノール燃料の生産活動が盛んなブラジルの事例を取り上げ、「燃料輸入の削減につなげられる」と述べた。また、インドにおけるエタノール販売量が過去2年で3倍にまで増えたとし、遺伝子組み換え技術の導入にも言及したという。

他方、エタノールよりもイソブタノールに優位性があると、ガソリン基材となるイソブタノール開発に軸足を移す企業もある。米バイオ燃料開発会社のゲーボは11月22日、米テキサス州ヒューストン地域でイソブタノールを12.5%配合した自動車用ガソリンを発売すると発表した。マスケット・コーポレーション(本社:ヒューストン)が販売などを担当する。イソブタノールはエタノールに比べ、熱量や蒸気圧、腐食性などといった点で、石油系ガソリンの性状に近いという。

インドネシアでは、パーム油の製造業団体「ガプスキ」が11月末、2017年のパーム油生産量が回復するとの予測を発表した。来年はパーム油の原料となるアブラヤシの生育に適した天候になるためとしている。今年のパーム油生産量は前年比で15~20%減少し、過去20年間で最低の3,000万トンにとどまるという。輸出量は同15%減の2,250万トン。

このほか、フィンランド政府は11月24日、2030年までに石炭火力発電を禁止する計画を検討していると発表した。また、バイオ燃料の利用を促進し、30年までに電気自動車の比率を10%にするとした。2020年代に原油輸入量を2005年に比べ半減させるとの方針も示した。