石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が主催の「JOGMECテクノフォーラム 2016」がこのほど、都内で開催された。このフォーラムには、メキシコ、ブラジル、インドネシア、ロシア、アゼルバイジャンなどの産油国からエネルギー関係者が集い、自国の石油・天然ガス開発の現状、今後の見通しなどについて講演した。

中東地域からは、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油(ADN0C)関係者が参加。同社ユニットマネージャーのジャマール・ナセル・バーマッシュ氏は、UAEにおけるエネルギー開発に関連し、次のような見解を示した。

まず、原油開発についてバーマッシュ氏は「中東地域では過去3年で5億バレル以上の油田の発見がない。一方、消費量は需要に追い付かない状況が続く」と指摘。新規の油田開発が進まない中、ADNOCとして「既存油田からの回収を図る。回収率は現在、45%だが、これを55%にする必要がある。そのため、新しい技術を成熟化させていくしかない」と強調した。

一方、天然ガス開発について、同氏は「アブダビは20億立方フィートくらいを輸入に頼っている。10年以内に自給体制を確立する計画でR&D(研究・開発)が必要になるとともに人材養成が急がれる」との見解を示した。今回の来日で、バーマッシュ氏は日本からの投資に期待感を示した。

ところで、バーマッシュ氏が取り組む政策については、すでに現地メディアなどで取り上げられている。11月8日付の本サイト「エネルギーフロントライン」で紹介したように、ADNOCは今後5年間に製油所の増強や石油化学事業の拡大に向け、これら分野に重点的に投資する方針を明らかにした。

ADNOCは国内に限らず、海外市場を含めて強化に乗り出すという。特にガソリンやアロマ、ポリオレフィンの製造能力向上に力点を置く。2020年までに年間ベースでガソリンを1,020万トン生産することで、自給体制を整える。石油化学品の製造量は、2016年の年間450万トンから2025年までに同1,140万トンまで引き上げる予定だ。