アラブ首長国連邦(UAE)でこのほど、石油化学事業など下流部門に重点を置いた投資活動を活発化させる方針が決まった。ガソリンなどの製造能力を向上させることで、自給体制の確立を目指すという。また、二酸化炭素(CO2)の回収貯留プラント(CCUS)がアブダビで稼働したという情報が伝わっている。

『エミレーツ通信』(11月10日付)などによると、アブダビ国営石油会社のADNOCはこのほど、今後5年間に製油所の増強や石油化学事業の拡大に向け、これら分野に重点的に投資する方針を明らかにした。ADNOCは国内に限らず、海外市場を含めて強化に乗り出す。特にガソリンやアロマ、ポリオレフィンの製造能力向上に力点を置くという。2020年までに年間ベースでガソリンを1,020万トン生産することで、自給体制を整える。石油化学品の製造量は、2016年の年間450万トンから2025年までに同1,140万トンまで引き上げる予定だ。

一方、アブダビのエンジニアリング会社であるNPCCは、インド国営石油・天然ガス会社(ONGC)からウェルヘッド(海底の井戸を制御する坑口装置)の設計・調達・建設(EPC)役務を1億4,100万ドルで受注した。11月5日付のサイト『UAEインタラクト』などによると、対象となるのは、ムンバイ・ハイ・ノース(MHN)油田と、ムンバイ・ハイ・サウス(MHS)油田で海洋プラットホームに設置する10カ所のウェルヘッドで、2018年4月までに完成させる見通しだ。

このほか、11月5日付のサイト『ガルフ・ニュース』などによると、中東地域で初めてとなる二酸化炭素(CO2)の回収貯留プラント(CCUS)が、アブダビで稼働したという。ADNOCと再生可能エネルギー会社であるマスダールの合弁企業「アル・レヤダー」が開発に携わったとしている。国営製鉄会社のエミレーツ・スティール・インダストリーズ(ESI)から排出されたCO2を回収した上で、これを油層に注入し、原油の増進回収(EOR)を実施する。このプラントでのCO2回収能力は年間ベースで80万トン。