米エネルギー情報局(EIA)はこのほど、米大リーグの頂上決戦、ワールドシリーズ(WS)に進出を決めたシカゴ・カブス(ナショナル・リーグ)とクリーブランド・インディアンス(アメリカン・リーグ)にちなみ、米国のエネルギー史(生産量と消費量)を振り返るレポートを公表した。(写真はカブスのロゴマーク)
EIAは11月1日、カブスとインディアンズに関連する米国のエネルギー史を回顧する報告書を発表。ワールドシリーズでカブスが最後に勝利した1908年の米原油生産量は日量50万バレルを下回っていたが、インディアンズが最後に勝利を収めた1948年は、米原油生産量が同550万バレルだったとした。他方、エネルギー消費量は、1908年が15 quadrillion Btu(英国熱量単位)で、その4分の3を石炭が占めた。また、インディアンズが最後にワールドシリーズに進出した1997年には49 quadrillion Btuと大幅に増加したものの、石炭が占める比率は4分の1に低下した。ところで、周知のとおり、今年のワールドシリーズは、カブスがインディアンズを制し、108年ぶりの優勝を決めた。
一方、米国における石炭生産量について、EIAは11月8日、2015年は前年比10.3%減の約9億ショートトン(s.t.)で、1986年以降で最低となったと発表。15年の平均価格は同8.6%低下し、31.83ドル/s.t.となった。石炭消費量は同13.1%減の7億9,800万s.t.。14年の消費量のうち、92.5%は発電向けであったという。また、15年末の石炭在庫量は2億3,800万s.t.で、14年にくらべ20.6%増加した。
EIAによると、2015年の米国内の油田における原油生産量は日量942万バレル、7年連続の増加となった。オイル・ショック前の1972年以降、最大となった。特に、テキサス州、メキシコ湾岸、ノース・ダコタ州での増産が目立ち、全体の増加分の77%を占めた。15年の通年ベースでみると、増産したものの、原油安の影響で開発事業が停滞し、2015年4月以降は減産に転じた。
このほか、EIAは11月4日付のレポートで、米国では1980年代に商業化された油田の水平掘削工法の改良が進んだ結果、現在はこれが一般的な掘削工法となっているとした。2015年時点で、水平掘削工法を採用している油井の割合は、生産量が400万バレル(原油換算)以上で約77%になっているという。