インドでは近年、国内における旺盛なエネルギー需要で、製油所の拡張や近代化工事が目白押しだ。最近もインド国営石油会社(IOC)が東部ビハール州と北部ハリヤー州で、製油所の近代化工事や石油化学プラントの計画推進を決定するなど、活気付いている。また、インドは、経済制裁が解かれたイランから国家戦略備蓄用の原油を輸入した。

IOCは9月末に開催した役員会で、同国東部ビハール州バラウニ製油所の近代化計画と、北部ハリヤー州のパニプット製油所の石油化学プラント計画をいずれも承認した。9月30日付のサイト『ビジネス・ライン』などによると、バラウニ製油所の精製能力を年間600万トン(日量12万バレル)から同900万トン(同18万バレル)に拡張する計画という。パニプット製油所の石化計画では、ナフサクラッカー、モノエチレングリコール・プラント、ベンゼン・プラントの拡張工事に2億3,000万ドルを投資するとしている。

また、10月29日付のサイト『エコノミック・タイムズ』によると、IOC、バハラット石油(BPCL)、ヒンダスタン石油(HPCL)の国営3社が製油所の拡張・設備増強する計画で、2022年までに200億ドルを投資するとしている。重油の純輸出国であるインドだが、IOCは残渣油の品質向上によって重油の比率を下げる方針をすでに表明済みだ。

一方、国営マンガロール石油精製化学(MRPL)は10月半ば、イランからVLCC(載貨重量が20万トン以上)タンカーで同国産原油を輸入した。10月12日付のサイト『デカン・ヘラルド』によると、イラン産原油はカルナータカ州マンガロールにある国家戦略備蓄(ISPRL)の地下基地に送られたという。受け入れた原油量は200万バレルとされ、金額は9,700万ドルとしている。

このほか、インド政府はこのほど、英BPのガソリン・ディーゼル小売り事業参入を正式に認可した。燃料小売り事業でインドへの進出はBPが10社目となる。BPは今後、インド全土で給油所3,500カ所を開設する計画だ。ガソリンなどのエネルギー需要が増加すると予想されるインドでは、今後、燃料小売り事業で、企業間競争が激化するとみられている。