米エネルギー情報局(EIA)はこのほど、世界の海洋油田における2015年の原油生産量が2010年以降で最高を記録したとの報告書を公表したほか、開発地域が浅海から深海・超深海(水深1,500メートル以上)の海洋油田へシフトしているとの分析レポートを発表した。

EIAは10月25日、2015年の世界における海洋油田での原油生産量が日量2,700万バレルとなり、2010年以降で最高記録になったと報告した。この生産量は陸上を含めた油田全体で30%を占めたという。海洋油田の生産国は、サウジアラビア、ブラジル、メキシコ、ノルウェー、米国の5カ国で全体の43%に達した。海洋油田での原油生産量は、2010~13年に減少したものの、14~15年に増加に転じたという。

一方、EIAレポートは10月28日、世界の深海油田における2015年の原油・コンデンセート・天然ガス液(NGL)生産量が日量ベースで930万バレルを記録したと発表した。水深125メートル以上にある油田の同生産量は10年前に比べ25%増の日量700万バレルだったという。EIAは経済状況の変化に加え、浅海油田が枯渇傾向にあるため、掘削事業が浅海から深海・超深海油田にシフトしていると分析。海洋油田における浅海油田が占める割合は、2015年に過去最低の64%になった。なお、海洋油田における原油生産量は、過去10年間にわたり、30%程度で推移しているという。

このほか、EIAレポートは10月27日、世界における原油・石油製品を輸送するタンカー料金が下落していると報告。原油増産に加え、製油所の精製能力の拡大により、新造タンカーが2015年に205船が純増したことが背景にあるとした。

今年10月、中東湾岸地域からシンガポールまでのVLCC(載貨重量が20万トン以上)の料金は1月に比べ23%下落したという。一方、原油や重油を輸送するAFRA(載貨重量が8~12万トン)級タンカーでは49%の大幅な下げとなった。石油製品を輸送するタンカー料金も下落し、中東湾岸諸国から日本へのCRI(巨大)タンカーの10月分の料金は1月に比べ38%下落した。EIAは、タンカー輸送料金の下落が長距離輸送の採算性改善に寄与するとした。