原油安の影響で、調査機関がエネルギー分野での今後の投資が伸び悩むと予測する中、積極的な投資に動く企業がある。今回はいくつかの投資案件を取り上げる。
コロンビア国営石油会社のエコペトロールは9月29日、2017~20年の間に130億ドルを投資すると発表した。原油価格を1バレルあたり50ドルで設定したという。仮に原油価格が70ドルまで上昇した場合、投資額を170億ドルに引き上げる。また、投資額のほとんどを探査・生産といった上流部門に充てる。原油の生産量は、原油価格が50ドルで日量76万バレルを見込む。70ドルで同83万バレル、80ドルで同87万バレルとしている。他方、最大で7億ドルのコスト削減を計画する。米エネルギー情報局(EIA)によると、コロンビアは2003年に規制改革に取り組んだ結果、原油・天然ガスの生産量が増加に転じたが、一昨年来の原油価格の下落局面で、生産量の伸びは鈍化している。
他方、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルはアルゼンチンに進出する。同社は9月末、2020年までにシェルが同国の上流・下流事業に年間3億ドルを投資すると発表した。シェールガス埋蔵層があるヴァカ・ムエルタのクルズ・ド・ロレーナなどの鉱区が含まれるという。9月29日付の『ロイター通信』によると、英BPや米ダウ・ケミカルもアルゼンチンを有望な投資先としてみている。
また、タイ国営PTTは、同社の探鉱・生産子会社であるPTTEPが2017年の原油生産量を昨年並みの日量約32万2,000バレルとするため、少なくとも17億ドルを投資する方針だ。10月3日付の『バンコク・ポスト』などが伝えた。報道によると、PTTEPは過去2年間の原油安局面を受けて、今年中に生産コストを10%以上削減する見通しという。
このほか、インド国営石油・天然ガス会社のONGCは9月30日、同国の東海岸沖合にある鉱区「クラスター2深海石油・天然ガス開発」に今後4年間で51億ドルを投資すると発表した。2019年に天然ガス、20年に原油の生産活動をそれぞれ開始する予定だ。ピーク時の生産量について、ONGCは天然ガスで日量1,630万立方メートル、原油で同7万7,300バレルと見積もる。