独自動車メーカーのアウディが、太陽パネル電池大手の独フィースマン・グループと共同で、バイオメタンに転化するプロセスを利用して合成燃料の製造に乗り出すほか、フィンランド政府はバイオ燃料や再生可能エネルギー分野での助成を強化する。また、米ボーイングとメキシコのアエロメヒコ航空がバイオジェット燃料の共同開発で合意するなど、バイオ燃料開発で新たな動きが伝わっている。(写真はイメージ)

アウディは2月29日、太陽パネル電池大手のフィースマン・グループと共同で、バイオメタンに転化するプロセスを用いて合成燃料を製造する計画であると発表した。アウディは電気分解による水素製造に加え、高温・高圧条件での化学的転化反応を組み合わせるe-ガスと呼ばれるプロセスでメタン合成に成功している。一方、フィースマンのメタン転化プラントで5バールの低圧・低温条件でメタンを合成。2社の技術が組み合わさることで、合成燃料をつくり出すことができるとしている。

米ボーイングは2月24日、メキシコ政府系の空港・補助サービス会社(AAS)及びアエロメヒコ航空と、同国内でバイオジェット燃料の共同開発で合意したと発表した。メキシコ政府が管轄する「メキシカン・バイオエナジー・イノベーションセンター」が開発事業をサポートするという。バイオジェット燃料に使用する原料としてジャトロファ(熱帯性の落葉低木)や有機残渣物などが候補に挙がっているという。

一方、フィンランド政府は、2030年までにバイオ燃料や再生可能エネルギー分野に8,000万ユーロの支援を計画する。気候変動対策として石炭の使用中止、原油輸入量の半減を目標としている。同国の2015年の石炭消費量は前年比26%減の260万トンで、この数字は1980年初頭以来の最低水準となっている。外務省の発表によると、3月8日に来日したフィンランドのサウリ・ニーニスト大統領は滞在中、安倍晋三首相との会談で、環境技術や再生可能エネルギーなどの分野で、日本との関係強化を呼びかけたとされる。