約1,250億ドルの負債を抱えるブラジル国営石油会社のペトロブラスは、今年末までに151億ドルの資産売却を進める予定で、引き続き、その作業に取り組んでいる。今回、資産売却にとともに、バイオ燃料の製造事業から撤退することも判明した。

ペトロブラスは9月23日、天然ガスのパイプライン会社であるノヴァ・トランスポルタドーラ・ド・スル(NTS)の株式90%をカナダの資産運用会社であるブルックフィールド・アセット・マネージメントが管轄するグループに52億ドルで売却することに合意したと発表した。

このグループには、中国政府系ファンドのCICキャピタル・コープや、シンガポールのGICプライベートも含まれるという。NTSは現在、人口密集地のサンパウロ州、リオデジャネイロ州、ミナスジェライス州に天然ガスを供給しているという。

他方、ペトロブラスは、セアラー州の液化天然ガス(LNG)輸入ターミナルの操業停止、天然ガス供給先の火力発電プラントの停止を検討しているという。9月26日付の『ロイター通信』が報じた。それによると、セアラー州政府はLNGターミナルの跡地を有効活用する方針だ。火力発電プラントについては、すでに売却に出されているそうだ。

このほか、ペトロブラスはバイオ燃料を製造する事業からの撤退を決めた。同社は9月20日、バイオ事業から撤退し、石油・天然ガス生産事業に投資を集中させる方針を示した。前述したように、今年末までに151億ドルの資産売却を予定するペトロブラスは、2017~18年に195億ドル分の資産売却とともに共同事業化を図るとしている。

ところで、ブラジルの石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁(ANP)が今年5月に公表した2015年のブラジル全土における燃料製品の消費量によると、ディーゼル燃料は前年比4.7%減の5,721万キロリットルだった。他方、バイオディーゼルの基準配合率が2014年に5%から6%へ、その後、さらに7%に引き上げられた結果、15年のバイオディーセル生産量は前年比17%増の400万キロリットル。また、エタノールとエタノール燃料の総量は同19.6%増の2,880万キロリットルとなり、バイオディーゼルとエタノールが生産増に寄与したという。