今回は、バイオ燃料をめぐる世界の最新情報を取り上げる。米社が英航空会社にジェット燃料(ATJ)を提供することに合意したほか、インドでも第2世代バイオエタノールのプラント建設で提携するといったニュースが伝わっている。

米ランザテック(イリノイ州)は、製鉄プラントから排出されるガスから発酵プロセスを利用して製造するジェット燃料(ATJ)を英ヴァージン・アトランティック航空に提供することに合意した。9月14日、ヴァージン・アトランティックが発表した。ニュース・リリースによると、供給量は1,500ガロンという。両社は2011年から共同開発に取り組み、14年に英HSBC銀行がプロジェクトに加わった。米エネルギー省(DOE)とHSBC銀行からの資金援助を受けて、米パシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)が開発を請け負うとしている。

また、インド国営石油会社(IOC)は9月14日、エンジニアリング会社のPrajインダストリーズと第2世代バイオエタノールのプラント建設で提携すると発表した。IOCは同プラントを3基建設する予定としている。ガソリンにバイオエタノールを配合し、原油輸入の依存度を低減するのが狙い。プラントはPrajの自社開発技術が採用される見通しだ。

他方、再生可能燃料・化学品会社の米ビレント(ウィスコンシン州)は9月15日、コンソーシアム(複合企業体)を組んで、ビレントのバイオ関連技術を活用して、バイオ燃料やバイオパラキシレンの技術開発や商業化を計画していると発表した。この計画には、ジョンソン・マッセイなどがメンバー企業として参加しているという。

9月19日には、米航空会社のジェットブルー(ニューヨーク州)が、バイオ燃料会社のSGプレストンから再生可能ジェット燃料を購入することに合意したと発表した。燃料の組成については、再生可能燃料が30%、石油系が70%。購入量は年間3,300万ガロンで、契約期間は10年間としている。

このほか、DOE傘下のバイオエネルギー技術部門(BETO)が9月半ば、バイオ航空燃料にかかわるワークショップを開催した。競争力アップに向けた理解を深めることにつなげるのが狙いという。