ロシアでは最近、国営エネルギー企業が中東バーレーンやタイの企業と液化天然ガス(LNG)供給契約に合意したほか、大型LNGプロジェクトであるヤマル液化天然ガス(LNG)プロジェクトの投資額が185億ドルに達するなど、LNGビジネスをめぐる動きが伝わっている。

ロシア国営ノバテクはこのほど、ヤマルLNGプロジェクトに関連し、これまでの投資額が累計で約185億ドルになったことを明らかにした。9月5日付の『タス通信』が伝えた。それによると、第1系列は2017年に稼働予定とし、現時点でプラント工事は76%が完成し、進捗率はプロジェクト全体で60%。ウクライナ危機を契機に、ノバテクは資金調達面で懸念されたものの、中国やロシアなどの銀行融資で事業を続行してきたという。

一方、ロシア国営ガスプロムと中東バーレーン石油・天然ガス庁(NOGA)は9月初め、ロシアからのLNG輸入に合意し、覚書(MOU)を締結した。また、ロシア国営のロスゲオロジアとNOGAは石油・天然ガス開発における関係強化でMOUを締結。両社はバーレーン沖合で2017年から5年間にわたり、地質調査を実施する予定だ。

本サイト「エネルギーフロントライン」(9月20日付)で取り上げたように、ガスプロムは、ロシア極東地方で展開されるサハリン2液化天然ガス(LNG)プロジェクトの第3系列が完成した後、供給量を増加させることで、韓国ガス公社(KOGAS)と協議に入ったという。

サハリン2では現在、第1、第2系列が稼働中で、2015年のLNG生産量は1,080万トンだった。これは、設計能力を120万トン上回る生産量という。第3系列の落札は2018年3月の予定。KOGASは2005年、サハリン2プロジェクトからLNGを年間150万トン輸入する契約を締結済みだ。

このほか、ロスネフチは9月2日、タイ国営のPTTとエネルギー分野にかかわる協力関係の構築で合意した。合意内容は上流部門の開発、石油精製、石油化学、LNG供給など多岐にわたる。ロスネフチはまた、PTTと原油供給に関する長期契約を締結する意向であることを明らかにした。