北米大陸で再生可能エネルギーによる発電シェアが伸びている。米国・カナダ・メキシコは、クリーンなエネルギー源による発電シェアを大幅に引き上げることで合意しているため、この3カ国は今後、目標を達成するために政策協調を強化していくとみられている。

米エネルギー情報局(EIA)が8月2日に公表したレポートで、「アニュアル・エナジー・アウトルック(AEO) 2016年版」に基づき、北米大陸3カ国(米・加・墨)の再生可能エネルギー発電による占有率が増加すると見通している。2015年と2025年の比較でみると、化石燃料の発電シェアが62%から55%に減少する一方、再生可能エネルギー発電は20%から29%へ増加すると予測。

この目標値を達成するためには、米国で発電所からの二酸化炭素(CO2)排出削減を目指す「クリーンパワープラン」(CPP)が実行されることが前提としている。米・加・墨の3カ国は、クリーンなエネルギー源による発電量シェアを2025年までに50%まで引き上げることで合意しているという。

他方、米国では、2016年1~6月の再生可能エネルギー発電量は各月とも2015年の水準を上回った。8月25日付のEIAレポートで明らかとなった。米西海岸地域では、干ばつが収まり、水力発電量が平年レベルまで回復したという。また、太平洋岸地域における2015年の水力発電量は2007年以降で最低水準に落ち込んだ。水力発電以外では、風力と太陽電池発電が増加しているとし、とりわけ、今年3月と4月は全発電量の10%を超えたとしている。

このほか、8月29日付のEIAレポートによると、ワシントン特別区(D.C.)での動きが注目される。ワシントンD.C.は、再生可能エネルギーの比率目標値を2032年までに50%と設定した。太陽光発電の比率を32年までに5%にするという。ワシントンD.C.の電力販売量は113億キロワット時(2015年)で、その大半が他州から供給されている。ワシントンD.C.は、再生可能エネルギー利用割合基準(RPS)を採用している。電力会社はRPS目標値の未達分を補償しなければならず、2015年にはその額が2,000万ドルに達したという。