9月28日にアルジェリアで開催される予定の石油輸出国機構(OPEC)非公式会合には、非加盟国のロシアも参加する。市場関係者は「減産あるいは増産凍結」で合意できるのかに注目している。リム情報開発はこのほど、非公式会合の見通しについて、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之・主席エコノミスト(=写真)に聞いた。
―OPEC非公式会合では、原油生産調整で合意できるか?
可能性は高くない。サウジアラビアはOPEC産油国全体の生産調整を望んでいる。OPEC加盟国の一部に抜け駆け増産されると、その穴埋めをサウジなどが行わなければならない。このような事態は避けたい。サウジはイランを含めた全加盟国が生産調整に参加するという条件であれば、調整に参加するといった状況だ。一方、イランは、かつてに比べて原油生産量はだいぶ増加しているものの、現在はまだ日量360万から380万バレル。イランの原油生産の目標は日量400万バレルを少し超えたあたりなので、イランはなお増産したい意向。現時点では生産調整から外してほしいはずだ。
―原油生産調整で合意する可能性はゼロなのか?
そうでもない。相対的には、以前より原油生産調整で合意する確率は上昇している。イランの原油生産量は400万バレルの目標水準までもう少しのところまできている。期限付きであれば、サウジと妥協する余地があるかもしれない。可能性は高くはないが、生産調整が実現する確率がないわけではない。
―その場合、減産まで合意できるか?
サウジ、イランを除く他の産油国の間では、需給を引き締めるという目的を達成するためには、石油の供給を引き下げる調整が必要との認識もある。アルジェリアは日量100万バレルの減産を模索したいとの意向を示しているし、ロシアは5%の減産は理論的に可能としている。ただ、実現にはなかなかたどり着けないのではないかと考えている。可能性があるとすれば、原油生産の凍結だろう。
―現実的な落としどころはどこになりそうか?
もし生産調整がされないとすると、石油市場、価格安定の必要性についての認識をOPEC、非OPEC産油国は共有し、この先石油市場について緊密に観察していきたいといった声明を発表することになるだろう。
―OPEC非公式会合の原油相場への影響は?
増産凍結に至った場合でも、これが石油市場に与える影響は実質的にはない。OPEC、ロシアはすでに非常に高水準の生産を行っているので、そこで固定しても需給を引き締めることにはならない。ただ、市場はOPECと非OPECが結束する兆候が出始めたと受け取るので、心理面から原油先物に買いが入って価格が上がる可能性はある。逆に、生産調整に対する決定がなされなかった場合には、失望感から売りが出て、原油価格が下がる展開が考えられる。OPECが生産調整に失敗した場合、一時的にWTI原油価格が40ドルを割ることもありうる。
㊟インタビューは9月23日、都内で実施した。