経済減速が鮮明となるメキシコ。2016年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)が3年ぶりのマイナス(確報値は前期比-0.2%)となる中、国営石油会社ペメックスがこのほど、2017年予算を大幅に削減することを決めた。その一方、民間会社が同国で初めてディーゼルなどの燃料を調達する動きが出ている。
メキシコ政府は9月初旬、ペメックスが2017年予算編成で54億ドル相当を削減すると発表した。産油国のメキシコでは、原油生産量が過去11年間で減少し続け、現在は日量200万バレルの水準まで低下した。米格付け会社のムーディーズによると、ペメックスは2017年までに資本増強が必要になると指摘している。
他方、ペメックスは9月13日、メキシコ湾の6カ所で原油埋蔵を発見したと発表した。このうち、2カ所は深海で、4カ所が浅海とされる。深海では、タマウリパス州沖合220キロメートルの水深約3,000メートルに位置し、埋蔵量はコンデンセートで1.4~1.6億バレルと見積られている。浅海では、ベラクルス、タバスコ両州の沖合30キロメートルの水深44メートルに位置し、埋蔵量は軽質原油とコンデンセートで5,000~6,000万バレルとされる。ペメックスは、総生産量を日量2万2,000バレルと見込んでいる。
民間企業の動きも見逃せない。米ノヴム・エナジー(テキサス州)は、民間企業としてメキシコで初めてディーゼルを輸入した。9月13日付のサイト『グローバル・メディア』などによると、メキシコは現在、ガソリンなどの燃料約75万バレル(日量ベース、原油換算)を米国から輸入している。メキシコ政府は今年2月、民間企業の燃料輸入を4月から容認すると発表済みで、今回のノバムのケースはその第一弾となる。
このほか、韓国ガス公社(KOGAS)は、メキシコ国内で液化天然ガス(LNG)輸入ターミナルと天然ガス・パイプラインを建設することを検討しているという。8月15日付のサイト『LNGワールド・シッピング』などによると、KOGASはこのほど、メキシコ南東部のユカタン州政府と建設に関する覚書(MOU)を締結した。投資額は10~15億ドルになる見通しだ。