韓国企業が最近、海外鉱区での開発計画を断念するケースが目立つ。また、納期遅延が理由で契約自体が解消されるといった事態に追い込まれている。ここ数年の原油安を背景に、企業が期待したほど収益性が得られないとの経営判断があるようだ。

韓国石油公社(KNOC、本社:蔚山広域市)はこのほど、イラクで展開するサンガウ・サウス鉱区の石油開発を断念することが分かった。商業ベースに乗らないとの理由だ。8月22日付のサイト『エナジー・ボイス』などが報じた。それによると、KNOCは2008年、イラク国内のクルド自治政府と生産分与契約(PSC)を締結したという。これまで総額で2億ドル強を投資してきた。この鉱区の権益は、KNOCを中心とする複合企業(コンソーシアム)が60%を保有する。KNOCは今後、見直し作業の中でいくつかの海外プロジェクトを処分する方針としている。

また、本サイト『エネルギーフロントライン』(2016年8月22日付)でも取り上げたように、KNOCが、カザフスタンで進めるジャンブール鉱区のプロジェクトから撤退することで協議していることが明らかとなった。

ジャンブール鉱区を探査した結果、KNOCは想定していた生産量が見込めないと判断したようだ。8月5日付のサイト『オイル&ガスイヤー』などによると、KNOCが主導するコンソーシアムは、2008年にジャンブール鉱区の権益27%(このうちKNOC単体で9.45%)を取得済み。当時、2億5,000万ドル相当を投資したという。

一方、韓国企業と海外企業との契約解消の動きも伝わる。ノルウェーの石油掘削会社であるフレッド.オルセンエナジー(本社:オスロ)と、その子会社のボルスタ・ドルフィン、韓国の現代重工業(HHI)の3社は8月22日、ボルスタがHHIに発注済みの半潜水型の掘削装置(リグ)にかかわる契約を解消したと発表した。納期遅延が理由としている。

契約解消の結果、HHIがボルスタ・ドルフィンを所有することで合意したほか、HHIがフレッド側に17億6,400万ドルを支払うことで折り合ったという。3社は共同声明で「各社の見解の相違を克服できたことを歓迎する」とコメントした。