メキシコ経済が振るわない。国営石油会社のペメックスが先に公表した2016年第2四半期決算で、最終損益が大幅な赤字となるなど、一昨年来の原油安の影響が引き続き、経営の重石となっている。こうした状況下、同国政府は2017年3月に第2弾となる油田入札を実施する予定だ。これによって、112億ドル強の投資を見込めると算盤を弾くが、前途は多難だ。
メキシコ政府当局が8月22日に発表した、2016年第2四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比0.2%のマイナスとなり、経済減速が数字上からも鮮明となった。マイナスは13年4~6月期以来、3年ぶりだ。
メキシコ経済の苦境を象徴したのが、ペメックスの決算だった。同社が7月28日に発表した、2016年第2四半期決算で最終損益が834億ペソ(約4,600億円)の赤字となり、昨年に続き、業績低迷が鮮明となった。売上高は前年同期比17%減の2,557億ベソとなり、原油安が響いたとしている。
経済苦境からの脱却を図るため、メキシコ政府は7月19日、第2ラウンドの油田入札を2017年3月に実施する意向と公表済みだ。対象となるのはメキシコ湾の15鉱区で、ベラクルス、タバスコ、カンペチェ各州の浅海に位置するという。同国政府は、入札によって112億5,000万ドル相当の投資を見込めると試算している。
これに関連して、韓国ガス公社(KOGAS)がメキシコに液化天然ガス(LNG)輸入ターミナルと天然ガス・パイプラインを建設することで検討していることが判明した。8月15日付のサイト『エルエヌジー・ワールド』などによると、KOGASは8月半ば、メキシコ南東部に位置するユカタン州政府と本件で覚書(MOU)を締結したという。投資額は10~15億ドルと見込まれている。
ところで、メキシコの石油産業では、過去1年間に6万人程度の雇用が失われたとされる。エネルギー業界を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあることに相違ない。