今回は「原油安ショック」シリーズの第46弾。原油安が経営の足かせとなり、シンガポールの油田サービス会社が清算手続きに追い込まれたほか、大手石油会社の今年第2四半期決算で、減益もしくは赤字転落となった企業が目立った。年初来に比べ油価が回復してきたものの、未だに業績回復につながってない状況が続いているのが実情のようだ。

シンガポールの油田サービス会社スワイバー(Swiber)・ホールディングスは7月29日、会社清算の手続きを申請し、債権者らと協議に入ったと発表した。シンガポール証券取引所(SSE)によると、スワイバーは今後、裁判所の管理下に入る。今年2月に底値を付け、上昇基調に転じた原油価格だが、1バレル40ドル台前半といった現在の価格水準でも収益回復につながらなかったようだ。

一方、8月上旬までに大手石油会社の第2四半期決算(4~6月)が出揃った。いずれも大幅な減益、もしくは赤字を計上するなど、引き続き、原油安の影響を払拭しきれていないのが実情だ。

メキシコ国営のペメックスが発表した第2四半期の最終損益は834億ペソ(約4,600億円)の赤字だった。米エクソンモービルの第2四半期の純利益は前年同期比で59%減少した。米コノコフィリップスは最終損益が10億7,100万ドルの赤字となったものの、油価の回復もあり、前期(1~3月期)の14億ドル6,900万ドルの赤字に比べ、改善されつつある。

ところで、原油安の影響が払拭されない状況にもかかわらず、世界の産油国は市場シェアの確保に重点を置いた価格政策を変更していない。サウジアラビアの国営サウジアラムコはこのほど、9月のアジア向け原油価格を引き下げた。アジア向けアラビアンライト原油の公示価格(OSP)は、今年1月以降で最安値の水準となった。サウジの値下げは、ロシアやイランといった産油国に対抗するための措置との見方が一般的だ。

他方、米国では、独立系パイオニア・ナチュラル・リソーシズの首脳が7月末、同社がパーミアン盆地(米テキサス州)で展開する水圧破砕工法(フラクチャリング)による原油生産コストが1バレルあたり2.25ドルまで低下したと発言。その上で、サウジアラビアの在来型原油の生産コストに対抗できるとの見解を示した。7月28日付サイト『ザックス』が報じた。